偽ニュース「ピザゲート」で脅迫されていたレストラン、武装した男に襲撃される

このレストランは、「ピザ・ゲート」という陰謀論で知られている。

アメリカ、ワシントンD.Cで12月4日、根拠のない陰謀論で脅迫されていたピザレストラン「コメット・ピンポン」が武装した男に襲撃された。

これは、現実世界で偽ニュースが拡散されたとき、その結果どうなるかについて、いろいろと考えさせられる事件だ。

4日午後、ワシントンD.C.の警察が、市の繁華街にある人気ピザレストラン「コメット・ピンポン」で、アサルト・ライフルを持った男を拘束した。

警察によると、襲撃したのはノースカロライナ州ソールズベリー出身のエドガー・マディソン・ウェルチ容疑者で、アサルト・ライフルを持ってレストランに入ったという。発砲したとの報道もあるが、負傷者は出ていない。警察は周囲を封鎖し、他のレストランや店は営業を中止した。その中には人気書店「ポリティックス・アンド・プロウズ」もある。

警察がポリティックス・アンド・プロウズを閉鎖し、周辺を捜査している。

店内にいた人々は外出禁止となり、警察の安全確認が終わるまで待っている。

コメット・ピンポンに武装した男がいた。周辺の店舗は営業中止となっている。

レストランは、殺害の脅迫を受けていた。「民主党大統領候補ヒラリー・クリントンと選対本部長ジョン・ポデスタが、『コメット・ピンポン』を拠点に児童買春を行っている」という、右翼によるデマが原因だった。

ウェルチ容疑者はこのデマを「自身で捜査しようとした」という。これは「ピザ・ゲート」という陰謀論で知られていると、警察は語った。

この陰謀論に証拠はない。しかし、右翼の偽ニュースサイトを通じてすぐに拡散され、SNSに出回った。「クリントンが性犯罪を行っている」という、でたらめな話をツイートした中には、10万人以上のフォロワーを持つマイク・フリン氏がいる。フリン氏は、ドナルド・トランプ次期大統領から国家安全保障問題担当の大統領補佐官に任命された人物だ。

レストランのオーナーであるジェイムズ・アレファンティスさんと従業員たちが殺害脅迫を受け始めてから、アレファンティスさんは偽ニュースを削除させようと、地元の警察やFBIを含む連邦当局に相談した。しかし、ワシントンポストによると、脅迫はおさまらず、最近では、周辺の店や会社なども脅されるようになったという。

「『お前たちを銃殺隊の前に並ばせてやる』と言っている人もいました」と、近所のコーヒーショップのオーナー、マット・カーさんはワシントンポストに語った。

この事件について、カーさんは「最悪の恐怖でした。誰かが一連の話を読んで、銃を持ってやってくるだろうと心配していましたが、今日、それが本当に起きたのです」

警察によると、ウェルチ容疑者は危険武器による襲撃の罪に問われたという。警察はレストランから銃を2丁、ウェルチの車から他の武器を1点押収した。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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