韓国・朴槿恵大統領の弾劾訴追案が12月9日、国会で採決され、賛成234票、反対56票で可決された。
朴大統領は、国会から弾劾議決書を受け取った午後7時3分に職務が停止された。今後は黄教安(ファン・ギョアン)首相が大統領権限を代行する。
投票は無記名投票で行われた。国会で過半数を握る野党3党と無所属議員の計172人のほか、与党・セヌリ党からも64人が賛成したとみられ、弾劾可決に必要な3分の2(200人)を大きく超えた(棄権2、無効7)。9日発表の韓国ギャラップの世論調査では、国民の81%が弾劾に賛成しており、こうした世論が与党の非主流派だけでなく、朴大統領に近い主流派からも大量の賛成票を出し、予想外の大差につながったとみられる。
弾劾の可否は、最終的に憲法裁判所が審判する。国会の議決から180日以内に、裁判官9人中6人以上の賛成で認められれば、大統領は罷免され、その日から60日以内に大統領選挙が実施される。棄却されれば大統領は職務に復帰する。
朴槿恵大統領は、知人の崔順実(チェ・スンシル)被告らと共謀し、財団への出資強要や収賄、公文書の流出に関与したとして、検察は崔被告や青瓦台(大統領府)高官らを検察に起訴した。国会で過半数を占める野党3党は、弾劾事由書で「国民の財産権や市場経済の秩序、憲法順守義務に違反した」と指摘した。また、2014年4月に304人が死亡・行方不明になった大型旅客船「セウォル号」沈没事故の直後、7時間にわたって動静が不明になった「空白の7時間」についても「国民の生命と安全を保護するための積極的措置を執らなかった職務放棄に等しい」と弾劾事由に含めた。
■朴大統領「私の不徳」と陳謝
聯合ニュースによると、朴槿恵大統領は9日夕方、青瓦台(大統領府)で閣僚懇談会を開き「我が国の安全保障と経済がすべて困難に陥っている状況で、私の不徳でこのように大きな国家的混乱になったことに、国民の皆様に本当に申し訳ない」と陳謝した。
「これからは憲法と法律が定める手続きにより、憲法裁判所の弾劾審判と特別検事の捜査に、冷静に淡々と対応する」と述べた。野党の一部から、弾劾訴追案可決後に即時辞任するよう求める声が出ていたが、事実上拒否する姿勢を示唆した。
国会前には、弾劾訴追を求める人々が押し寄せ、機動隊と衝突する場面も見られた。
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大統領が弾劾訴追されるのは、2004年の盧武鉉大統領以来2人目。このときは盧武鉉氏が、与党への支持を呼びかける発言を繰り返したことなどが弾劾理由だったが、憲法裁判所が棄却し、盧武鉉氏は職務に復帰した。
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