「ダコタ・アクセス・パイプラインの抗議行動を終わらせろ」共和党がオバマ大統領に圧力

「無為無策が抗議行動への緊張を高め、州と地域の資源を酷使させている」

デモの拠点「オセチ・サコウィン・キャンプ」付近の川をカヌーで下るデモ参加者たち

ノースダコタ州の共和党上院議員ジョン・フーヴェン氏は11月30日、アメリカ先住民たちの抗議デモが続いている石油パイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン」の建設について、デモ参加者と警察の間で暴力的な衝突が起きたのは、建設計画の承認を渋っているオバマ大統領の責任だと主張した。

「オバマ政権が最終的に残ったオアヘ湖での地役権(ある土地の便益のために、他人の土地を利用する権利)の承認を拒否したせいで建設がさらに引き伸ばされ、暴力的な抗議行動が今も続き、助長されている」と、フーヴェン議員は上院議会で述べた。

ジョン・フーヴェン上院議員

ダコタ・アクセス・パイプラインは、石油パイプライン会社「エナジー・トランスファー・パートナーズがノースダコタ州からイリノイ州までをつなぐ1172マイル(約1886キロ)のパイプラインを建設するプロジェクトだ。建設ルート近くの居留地に住むアメリカ先住民スタンディングロック・スー族は、水源のミズーリ川が汚染されることを懸念し抗議デモを続けている。

建設地付近を流れるミズーリ川をせき止めた人工湖「オアへ湖」に地下パイプラインを建設する許可申請は下りておらず、工事未完了区域に当たる。オバマ政権は申請プロセスの見直しを指示し、アメリカ先住民の懸念を考慮することに同意した後、9月に許可申請を保留した。

「この無為無策が抗議行動への緊張を高め、州と地域の資源を酷使させている。さらに重要なのは、部族の人々、デモ参加者、警察官、建設作業員、そして地域住民、つまりこの地域に住み、働き、私たち共和党を支持する農家や牧場主たちを、不必要に危険にさらしている」と、フーヴェン上院議員は述べた。

フーヴェン上院議員は、このパイプラインの建設がノースダコタ州内で98%完了しており、全体でも86%完了していると指摘した。また、数千ものパイプラインがすでにアメリカを縦横に走っているし、パイプラインは他の原油を輸送する方法よりも安全だと主張している。

「この問題解決に対処している時間はない」と、フーヴェン上院議員は語った。

許可承認を遅らせるのは、スタンディングロック・スー族にとって最後の希望だ。スー族は、パイプラインが連邦文化財保護法と、スタンディングロック・スー族ら先住民の居留地を侵害しないと約束した1851年のフォート・ララミー条約に違反しているとして抗議している。

自らを「水の保護者」と呼んでいるデモ参加者たちと、彼らが連邦政府の土地を数カ月間占領してきたキャンプに対して、関係者が対立を強めている中で飛び出したのが、フーヴェン上院議員の発言だった。

モートン郡の保安官事務所は11月29日、デモの拠点「オセチ・サコウィン・キャンプ」を離れる命令に従わないデモ参加者たちに、食物、薬品、その他の支給を阻止すると表明していた。ノースダコタ州のジャック・ダーリンプル知事は28日、大雪が予測されるのでこのキャンプから強制退去するよう命じている。

ノースダコタ州のジャック・ダーリンプル知事

アメリカ陸軍工兵隊は、デモ参加者たちのキャンプを閉鎖する方針だ。陸軍工兵隊はその理由として、警察とデモ参加者との間で暴力的衝突の懸念が高まっており、寒波も到来していることを挙げている。

現在のところ、スタンディングロック・スー族とその支持者たちは、退去を拒絶している。

ダーリンプル知事や共和党のケビン・クラマー下院議員と共に、フーヴェン上院議員は、この抗議行動を制圧するために、連邦警察の職員を配備するように、オバマ大統領に要請したことがある。

「私たちは公共の安全を維持するために、州・出先機関に連邦警察の職員を直ちに送るよう、大統領に要請する。抗議活動が長引き、暴力行為が頻繁に発生しており、公共の安全が脅かされている」と、フーヴェン上院議員は11月23日、オバマ大統領宛に書簡を送った。「こうした人員は、連邦所有地とその周辺のさらなる破壊行動を防止するために、必要不可欠だ」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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