韓国の朴槿恵大統領が11月29日、国民向け談話で「任期短縮を含む進退問題を国会の決定に任せたい」と、自らの退陣問題を国会にボールを投げた。結局、本人自ら「即時退陣」「辞任」を決めず、去就問題すら与野党に押し付けた形だ。
野党第1党の「共に民主党」、野党第2党の「国民の党」に加え、与党・セヌリ党で朴大統領と距離を置く非主流派(「非朴」系)の国会議員までもが弾劾の手続きに着手し、12月2日に弾劾を採決する予定だったが、3日後に控えた段階で、朴大統領が一種の勝負に出た格好だ。
この朴大統領の一手は「時間稼ぎ」であり、非朴系をゆさぶる目的と解釈できる。
朴大統領は「秩序ある退陣」を認めたかのように見えるが、首相に即時に権力を移譲するなどの具体案もなく、大統領の退陣スケジュールの議論を完全に国会に丸投げしたのは、弾劾政局が一段落した後、国会での時間稼ぎを狙ったものと解釈できる。国会が大統領の退陣スケジュールを議論し始めれば、与野党の駆け引きの間に、退陣は再びうやむやになる可能性があるからだ。
野党が発議する弾劾訴追案に賛成することにしたセヌリ党の「非朴」系はさっそく動揺し始めた。ファン・ヨンチョル議員は「弾劾議論の見直しが必要だ」という立場を明らかにし、午後3時30分に予定されていた非朴系議員の総会に入った。
韓国の国会議席数は、野党3党で過半数を超えるが、弾劾に必要な3分の2には達しておらず、与党・セヌリ党の一部が同意することが必須となる。
これまで朴大統領は自ら辞任しないという意思を重ねて表明してきたが、セヌリ党主流派の「親朴」系は「自ら退くことを認めたのだから、弾劾までしなければならないのか」という世論を喚起することもできる。
大統領の談話に「親朴」のチョ・ウォンジン議員は「議員総会で、こんな状況で弾劾するのがいいのか、議論してみよう」と自信を見せた。
また、朴大統領が「任期短縮」に言及したのは、憲法改正につながる。「弾劾」を先送りし「改憲」案を用意すれば、自分が身を引くという意思を示唆したものとも解釈できる。
非朴系のハ・テギョン議員はテレビ局、JTBCの「ニュースの現場」に出演し「任期短縮は改憲するしかない。改憲は弾劾をした後も、その後に改憲を国会でできるので、大統領と親朴が望んでいるのは、弾劾を留保してくれということ。改憲を口実に弾劾を延期してほしいという弾劾かく乱作戦だ」と分析した。
ハ議員は「(朴大統領の)権力への意志は非常に強い。周辺の人がいろんなアイデアを続けて出すというのは、権力への意志が強いから」として「しかし、最近はそうしたうそがすべてばれてしまった。明日ぐらいになれば、全国民に広がる。時代の流れを見誤った70、80年代の(軍事政権の)ようではないか。大統領が最後までチャンスを逃している。今日は辞任します、と言うべきだった」と批判した。
野党3党は、朴大統領の談話とは関係なく、弾劾は引き続き推進するという立場だ。
ウ・サンホ「共に民主党」院内代表は、「民主党は早速準備を急いで、今週中に弾劾が終わるようにする」と述べ「国政の空白が長期化するので迅速に準備して、予測可能なスケジュールを整理しなければならない」と述べた。
呉代表は、「朴大統領が退陣するというなら弾劾後でも退陣できる。弾劾スケジュールは退陣するかどうかとは無関係に正常に進行する」と強調した。
「国民の党」のキム・ギョンジン議員は、JTBC「ニュースの現場」で「弾劾のために非朴系で少なくとも30人の同意を得なければならない。その問題で絶妙な談話を投げ込んだのではないかと考える」として「辞任するとは言ったが、具体的な時期を決めてくれればよかったのに、退陣問題を国会に丸投げした。国会は会派があるので意思決定が容易ではない。深い意味はないのか、時間をかせぐ意図なのか疑わしい」と分析した。
ハフィントンポスト韓国版に掲載されたものを翻訳しました。
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