国立東京学芸大学附属高校(東京都世田谷区)でいじめがあり、男子生徒1人が手首を骨折したり、脳振盪を起こすなどの被害に遭っていた。
東京学芸大が11月29日、会見を開いて明らかにした。朝日新聞デジタルによると、大学側は学校の対応が遅れたことを問題視して、当時の校長ら12人を戒告処分。警視庁はいじめた側の生徒2人を書類送検した。
時事ドットコムによると、いじめは2015年5月から9月にかけてあり、複数の生徒がはやし立てて、のどの奥に指を入れて吐くまねをさせたり、セミの幼虫をなめさせたりしたという。
また、2015年6月には体育祭の練習で倒されて手首を骨折したり、投げ飛ばされて脳振盪を起こしたりした。学校側はいじめについてアンケートを実施し、いじめられた生徒は「いじめがあった」と回答。担任が面談したが確認できなかったという。
朝日新聞デジタルが報じた一問一答では、学校側は生徒の骨折時に「『自分で転んだ』と言い、そのままにしていた」と答えている。
――骨折した時にいじめと判断しなかったのはなぜか
「保健室に来た本人は『自分で転んだ』と言い、そのままにしていた。骨折が起きたときには教員らが事故原因を記す事故報告書を作成することになっているが、誰も作らず、原因についても調べなかった」(中略)
――その後は
「さらに、骨折した状態の被害生徒は、別の生徒に投げられ、脳振盪(しんとう)を起こした。そのときも、事故原因も確認せず、報告書も作らなかった」
(報告書なし、面談不十分…学芸大付属高いじめで問題次々:朝日新聞デジタルより 2016/11/30 08:11)
学校側が認識したのは、9月になって保護者からの相談を受けてからだった。
「いじめ防止対策推進法」では、学校が生徒の心身に危険が及ぶ「重大事態」を把握した場合、すぐに教育委員会に報告義務がある(学芸大附属高校は国立高校のため文部科学省が所管)だが、報告は2016年3月と半年以上かかった。
出口利定学長は、「被害にあった生徒や保護者に深くおわび申し上げる。教員を養成する大学の附属高校として決してあってはならず、教職員に対して法令順守を徹底するとともに生徒の側に立った運営を行うよう指導する」と陳謝した。
【訂正】2016/12/01 14:45
当初の記事で「2人を在宅起訴」としていましたが、2人は在宅起訴されていませんでした。朝日新聞デジタルが訂正しました。