DeNAが運営する健康・美容情報サイト「WELQ」が11月25日、「専門家による監修を始める」と発表した。
つまり、これまで専門家は監修していなかった。
医療や薬品に関する情報を掲載し、検索上位に表示されるサイトだが、執筆者が匿名で専門知識がなく、医学的な根拠が乏しい記事が多いなどとして、医療関係者らから批判されていた。
この日に発表された「お知らせ」によると、WELQは、これまでに公開した記事について
- 医師や薬剤師などの専門家らに監修を依頼
- 社内にパトロールチームを結成し、内容が適切か判断
- 通報フォームを設置し読者からの指摘を受け付ける
ことを明らかにした。
「WELQ」はDeNAが2015年10月に開設したキュレーションサイト。「ココロとカラダの教科書」をキャッチコピーに、病気や健康法、メンタルヘルスからスキンケア、化粧品情報まで、匿名のライターがネット上などの情報をまとめて編集した記事を配信している。
ニールセンの調査では、2016年6月の利用者数が631万人と、その直近3カ月で2倍以上に増えたことが報告されていた。「肩こり」「頭痛」など主要なキーワードをGoogleで検索すると軒並み上位に表示される。
一方で、以下のような断りが書かれ、運営するDeNAが内容に責任を負わないと明記していた。
当社は、この記事の情報及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、正確性、完全性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負うものではありません。この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
内容も、肩こりに関する記事で「肩の痛みや肩こりなどは、例えば動物霊などがエネルギーを搾取するために憑いた場合など、霊的なトラブルを抱えた方に起こりやすいようです」と書くなど、医学的な根拠に乏しいものや(現在は閲覧できない)、
「妊活」に関する記事で、特定のサプリメントの販売サイトに誘導する部分が複数回登場するなど、記事と広告の見分けがつかないものも多数存在する。
医学部出身のライター、朽木誠一郎さんは9月10日に、以下のように問題提起していた。
何が問題なのか。まずは、検索結果に、執筆者の名前・職業などが全く明らかになっていない、それでいて命に関わる医療情報が掲載されている場合があることだ。文責という言葉があるように、発信には責任が伴う。
さらに、その情報を掲載しているメディアが、掲載責任を放棄していることだ。万が一のことがあれば、法のもとでその責任を問われることになるだろう。しかし、万が一のことがあってからでは取り返しがつかないのが医療情報だと、私は思う。
(医療情報に関わるメディアは「覚悟」を - 問われる検索結果の信頼性(朽木誠一郎) - 個人 - Yahoo!ニュースより 2016/09/10 22:30)
また「死にたい」で検索すると上位に表示されるWELQのページも、内容に問題があるとして批判されていた。このページも現在は閲覧できない。
Twitterでは、医療や保育関係者からも、批判の声が上がっていた。
朽木さんは今回のDeNAの運用見直しについて、公開をやめないことで「安全性より収益優先ということがはっきりしてしまった」と批判した。
【訂正】2016/11/26 16:55 当初の記事でWELQの開設を「2016年10月」としていましたが、正しくは2015年10月でした。