メキシコ東部ユカタン州にあるマヤ文明の遺跡「チチェン・イッツァ」のククルカンピラミッド内部に、さらに小さなピラミッドがあることがわかった。
考古学者の研究チームは2015年、内部に光を当てて調査する非破壊検査の技術を使い、ピラミッドを発見した。このピラミッドは「エル・カスティージョ(スペイン語で「城」)」とも呼ばれ、地下水または聖なる泉「セノーテ」の上に建設されている。
外側に見える神殿の内部に小さなピラミッドがあることは以前から知られていたが、今回はその内部にもピラミッドがあったことが判明した。
チチェン・イッツァ、ククルカンピラミッドの日の出
研究グループは16日、他の2つの構造物内部にもっと小さな構造物を発見したと発表した。
調査には「3次元比抵抗トモグラフィ」(ERT-3D)を使い、高さ20メートルの中間にあるピラミッド内部に高さ10メートルの構造物を発見した。中間のピラミッドは900年頃、最後の施工段階までに外側の構造物に包まれたたものだ。
メキシコ国立人類学歴史学研究所(INAH)の考古学者デニス・ロレニア・アルゴテ氏は「もし将来この構造物を調べることができるとしたら意義深いことです。マヤ文明初期の住民のことが分かるかもしれません」と述べた。
アルゴテ氏は、最初の構造物が「純粋なマヤ・スタイル」で500〜800年に建てられたものだと述べた。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の考古学教授ジェフリー・ブラスウェル氏は、最新のプロジェクトには参加しなかったが、これまでチチェン・イッツァでの調査を進めてきた。ブラスウェル氏は今回発見された構造物は、新たに発見されたものか1940年代に発見されたものだと述べた。
ブラスウェル氏は、1940年代にピラミッドの中間層を発掘したとき、ある考古学者が内部に3つ目の構造物が埋まっているのを見つけたという。
「通路が不安定な状態だったため、この構造物についてはほとんど何も分かりません。外側の2つのピラミッドよりもはるかに小さく、内部できれいに並んでいるわけではなさそうです」と、ブラスウェル氏は語った。
研究グループが公開したコンピュータ画像でも、下の構造物が外側の層に従ってきれいに並んでいないことがわかる。
ブラスウェル氏は、ククルカンピラミッドの各層が他の層に内包されていることから、ロシアの入れ子人形「マトリョーシカ」に例えた。しかしさらに内側に内包されているピラミッドは1つだけではないかもしれない。
ブラスウェル氏は「より問題が複雑なのは、3体目と同じ大きさの"マトリョーシカ"が他にもあるかもしれないということです。この点はまだよく分かりません」と述べている。
メキシコ国立自治大学地球物理学研究所の研究員レネ・チャベス氏は「初期の構造物には階段があり、最上部には祭壇が埋められて保存されているようだ」と語った。構造物の位置は分かっているが、今後掘り起こされるかどうかはまだ分からない。
ブラスウェル氏は「掘り起こした人がいないので、これがこの地で最古の構造物だとは断言できません。でもその可能性は極めて高いでしょう」と語った。
ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。
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