マイケル・ムーア監督が、なぜ再び表舞台で脚光を浴びているのか?

「これから大変なことになるぞ」

マイケル・ムーアはドナルド・トランプの勝利を予想していた。今民主党の支持者たちは再びムーアの声に耳を傾けている。

11月9日の朝、数百万人の民主党支持者たちが目を覚ましたとき、前の晩に起きた出来事が夢ではなかったと知った。

アメリカの国民はドナルド・トランプ氏を大統領に選んだ。共和党は上院・下院で多数派を維持した。民主党は敗北しただけではなく、名前に傷がついた。民主党が発信したメッセージは共感を呼ばなかった。熱心な民主党支持者も多くが途方に暮れた。

その直後、ドキュメンタリー映画を手がけるマイケル・ムーア監督が7月に投稿したブログ記事が大勢の人にシェアされ始めた。その中でムーアは、トランプ氏が11月の大統領選で勝利すると断言できる5つの理由を掲載した。中西部に住む白人男性の怒り、ヒラリー・クリントン氏の明らかな不人気、バーニー・サンダース支持者たちの不満などがその理由だ。

ここ数年、ムーア監督は若干勢いを失っていた。民主党出身者が大統領だったからだろう。ムーア監督は支持者でいるよりも抗議する人間でいる方が本領を発揮する。だからジョージ・W・ブッシュ大統領時代に『ボウリング・フォー・コロンバイン』『華氏911』『シッコ』などの映画を発表し、反戦・左派の象徴となったことで、彼の名は一躍有名になった。逆にオバマ大統領時代では、ムーア監督は本領を発揮できなかったとも言える。

しかし彼はその間も、多くの人とは違い、ひっそりと中産階級としての態度を保ち続けた。今や大手のメディアのほとんどは、ムーア監督が投稿した記事の内容を報道しないか、控えめな報道に留めていると言っても差し支えない。

私たちはあまりにも納税申告書やトランプ氏の業績ばかりに集中し過ぎて、ワシントンがアメリカ人から摘み取り損ねた一般的な感情にはあまり目を向けなかった。映画監督としてではなく、1人のミシガン州フリント出身者として、彼は置き去りにされた感情の圧倒的な力に気づいた。そして今、ひっそりと過ごした数年間を経て、その発見を携え、再びドナルド・J・トランプ政権と闘う準備をした彼が再び脚光を浴びることになりそうだ。

多くの民主党支持者は9日の朝、目を覚まして失望したが、ムーア監督は目を覚ましてプランを練った。午前10時頃、5つの「1夜明けた朝のToDoリスト」をFacebookに投稿し、行動を起こすための具体的な方法を示した。リストの1つ目には「民主党を乗っ取り、民衆の手に返そう」。希望を失くしていた多くの民主党支持者をムーアの言葉が力づけた。このリストは共感を呼び、この時点で41万6000回以上の「いいね」が付き、21万1000回以上シェアされた。

ムーア監督はその夜ニューヨークの路上でデモ隊に加わった。その後CNNのドン・レモン記者に対し、デモはまるで「将来に脅える」人たちが押し寄せる「人間の波」のようだったと述べた。ムーア監督がタイミングを掴む重要性も分かっていたのは明らかだった。

ムーア監督はデモに参加した時、「イラク戦争の前にもこんな大規模なデモがあったけど、いざ戦争が始まるとみんな抗議するのを止めた」とハフポストUS版の アンディ・キャンベル記者に語った。「デモは続けなくちゃいけない。『ウォール街を占拠せよ』みたいに。(ただし)今回、俺たちはやり続ける。トランプが辞めるまで続けるんだ」

Out with tens of thousands of protesters in the streets tonight. The shit has only begun to hit the fan. #OccupyTrump.

Posted by Michael Moore on Wednesday, 9 November 2016

今夜は数万人のデモ隊と路上にいる。これから大変なことになるぞ。 #OccupyTrump.

翌日、ムーアは別のToDoリストを公開した。今回は5つではなく7つある。表舞台に出なくなって数年、ドキュメンタリー映画監督のムーアが本来の場所に帰って来る。それは共和党体制との闘いの場だ。さあ、どんな闘いになるだろうか。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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