朴槿恵大統領の知人女性による国政介入や不正疑惑について捜査している韓国の検察当局は、11月15~16日ごろ、朴大統領に直接、事情聴取することを明らかにした。
現職の大統領が検察の取り調べを受けるのは、韓国史上初となる。
ハフポスト韓国版によると、検察の特別捜査本部の関係者は13日午後、聯合ニュースに対し「朴大統領を遅くとも来週の火曜か水曜には取り調べなければならなくなるだろう。青瓦台(大統領府)にこちらの立場を伝え、返答を待っている」と述べた。青瓦台広報官は「返答はあさって(15日)以降になる」としている。
20日に朴大統領の知人女性、崔順実(チェ・スンシル)容疑者の拘留期限が満了し、起訴後は崔氏への取り調べも難しくなることから、それまでに朴大統領への取り調べをする構えのようだ。
検察によれば、現段階では参考人としての聴取になる予定で、書面でのやりとりも検討されているが「対面での取り調べを原則としている」という。朴大統領を呼んで取り調べるのか、検事が青瓦台に出向くのかはまだ調整中だ。
■財団を巡る疑惑が聴取の焦点に
朴大統領への聴取は、伝統文化やテコンドーの海外振興の名目で設立された「財団法人ミル」「Kスポーツ財団」を巡る疑惑が焦点になる見込みだ。
両財団には大手財閥から計約774億ウォン(約69億円)が寄付されたが、2015年7月24日前後に、朴大統領が各財閥のオーナー17人と一人一人単独で会談し、寄付を要請していた可能性が指摘されている。検察は大統領の聴取を前に、12日午後から13日にかけて、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長や現代自動車、ハンファなどの財閥オーナーを取り調べた。
Kスポーツ財団の理事長には当初、崔順実容疑者の行きつけのマッサージ店主が就任するなど、理事や職員に崔容疑者と関係の深い人物が多数送り込まれていたと報じられているほか、崔容疑者が自分の会社を通じて業務委託を受けようとした詐欺未遂の疑いも持たれている。大統領が権力を背景に財閥トップに寄付を強要していたことが明らかになれば、贈収賄に問われる可能性もある。ただ、憲法の規定で、現職大統領は内乱などを除いて、在任中に訴追されることはない。
朴大統領の辞任を求める11月12日の抗議集会は、主催者発表で約100万人、警察発表で約26万人が参加し、1987年の民主化闘争以降、史上最大の規模になった。10日発表の朴大統領の支持率は5%と最低値から上向かず、不支持は90%に達した。朴大統領を支える与党内の有力者からも13日、朴大統領の弾劾を示唆する発言が出るなど、辞任を求める民意の高まりの中で、朴大統領はさらに厳しい立場に追い込まれている。
▼画像集が開きます▼
※画像集が表示されない場合はこちらへ。
関連記事