アメリカのバラク・オバマ大統領は11月10日、2017年1月に次期大統領に就任するドナルド・トランプ氏とホワイトハウスで会談した。オバマ氏は、何年にもわたって彼の出生地に疑いをかけて大統領としての正当性がないと主張してきたトランプ氏と、速やかな政権移行について協議した。
2人は大統領執務室で面会し、当初は10分程度だった会談時間は90分に及んだ。報道記者たちは面会後に2人からの簡単な声明を聞くために室内に通された。トランプ氏はオバマ氏について「会ったことがなかったが、すごくいい男だ。とても尊敬している」と褒めた。
オバマ大統領はトランプ氏と会って、次期大統領の彼のチームと共にする関心に対し「素晴らしい会談だった。外交、内政で幅広く意見交換した。とても勇気づけられた」と話した。
「私は、我々すべてにとって重要なのは、党や政治志向のいかんにかかわらず、今は一つになって我々が直面している多くの問題に立ち向かうため、一緒に働くことだと信じている」とオバマ大統領は語った。
さらにオバマ大統領は、ファーストレディのミシェル・オバマ氏もメラニー・トランプ夫人と「とても友好的な会話」をしたと語り、オバマ夫妻は「今回の政権交代でトランプ夫妻を気持ちよく迎えられる」よう配慮するつもりだと述べた。
オバマ大統領がトランプ氏に直接話しかける場面もあった。
「私たちはあなたの政権がうまくいくよう、できる限りの支援をしたいと思っています」と告げた。
トランプ氏も、オバマ大統領が自分との会見に90分近い時間を割いてくれたことに感謝し、「もっと長く話せただろう」と語った。
そして「これからオバマ大統領や顧問たちと協議を重ねていくことを楽しみにしている」と語った。
会見にあたって大きく懸念されていたのが、これまでお互いに相手を激しく罵倒してきたことだった。トランプ氏は数年にわたってオバマ大統領の出生地について執拗に「アメリカ生まれではないから大統領の資格がない」という噂を立てた。オバマ大統領も選挙戦でトランプ氏を激しく非難し、投票日直前にも「トランプ政権は世界にとって有害となる」と警告を発していたばかりだった。
オバマ大統領は、自らが選挙戦を通して行ってきたトランプ氏への批判を翻すつもりはない、とジョシュ・アーネスト報道官は述べた。
オバマ大統領は今もトランプ氏が大統領にふさわしくないと考えているか?
大統領報道官:「大統領の考えは変わっていない」と述べたが、その議論は8日で終わった。
この会談は、2017年1月20日の正式な大統領就任に先立ち、大統領引き継ぎに向けた第一歩となる。またトランプ氏は、国家情報長官から最高機密安全保障の概要説明を受け始めることになっている。
また、トランプ氏の娘婿で顧問を務めるジャレッド・クシュナー氏が、オバマ大統領の首席補佐官デニス・マクドノー氏と会談しているのが目撃された。
オバマ大統領がトランプ氏とオーバルオフィス(大統領執務室)で会談する間、ホワイトハウスのデニス・マクドノー首席補佐官に連れられてサウスローンを歩くジャレッド・クシュナー氏
オバマ大統領は9日午前、国民に向け国内の大半に衝撃を与えた大統領選挙の結果について演説した。
オバマ大統領は、「私のチームに、8年前のブッシュ元大統領から引き継いだチーム作りを参考に、次期大統領のために政権移行がうまく行くようにできるだけ一生懸命動くように指示した。というのも、私たちは皆、彼がうまく国全体を団結させ、指揮することを願っているからだ」と述べた。「平和的な政権の移行は、私たちの民主主義の証だ。そしてこれから数カ月間、私たちはそれを世界に示していくつもりだ」と述べた。
トランプ氏はまた、選挙前に自身を支援しなかったポール・ライアン下院議長、ポール・マコネル院内総務など共和党首脳とも会談した。トランプ氏は会談後、「私たちは減税を実施し、医療保険をより良いものにする」と述べた。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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