新入社員の女性が家老のために自殺した電通が、複数の社員に違法な長時間残業をさせていた疑いで厚生労働省が11月7日、本社と3支社の強制捜査に乗り出した。朝日新聞デジタルなどが報じた。
NHKによると、11月7日午前9時20分ごろ、東京・港区の電通本社に東京労働局の過重労働撲滅特別対策班などの労働基準監督官が捜索に入った。労働組合と取り決めた協定の上限を超える違法な長時間残業をさせたとする労働基準法違反の疑い。違反があれば刑事事件として書類送検する方針という。
■電通の長時間労働事件に関わる経過
2015年12月、電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が自殺、2016年9月30日に、過労が原因の労災と認定された。また、違法な長時間労働をさせたとして2014年6月には関西支社が、女性社員が自殺する約4カ月前の2015年8月には東京本社がそれぞれ是正勧告を受けていたことも発覚している。
また、電通をめぐっては、1991年にも入社2年目の男性社員が過労で自殺し、遺族が電通に損害賠償を求める訴訟を起こした。この「電通事件」では2000年6月に電通側が責任を全面的に認めて陳謝、1億6800万円余を損害金として支払った。さらに、2013年に男性社員が病死した件についても、長時間労働が原因の過労死と認め、労災認定していた。
東京労働局と三田労働基準監督署は10月14日、労働基準法違反の疑いで電通本社(東京都港区)に立ち入り調査に入った。この時の調査は、労基法に基づく「特別監督指導」と呼ばれるもの。調査には、労働者に過重労働を強いる「ブラック企業」を専門に取り締まる東京労働局の「過重労働撲滅特別対策班」のメンバーも同行した。
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