人気アイドルグループ「欅坂(けやきざか)46」のライブ衣装がナチス・ドイツの制服に似ていると指摘された問題で、イスラエル大使館は11月4日夜、「ソニーミュージックとホロコーストの歴史について対話する機会を頂くことになった」と公式TwitterとFacebookで発表した。あわせて、今回の問題では「欅坂46の皆様に悪意がなかった事を十分に理解しております」との見解を示した。
イスラエル大使館は2日に、メンバーをホロコーストに関する特別セミナーに招待したいという意向を発表していた。
ハフポスト日本版では、「特別セミナー」の具体的内容などについて問い合わせた。イスラエル大使館広報室からは4日午後、メールで回答が寄せられた。以下、その全文を引用する。
ホロコーストに関する問題は複雑でセンシティブな内容であり、当館は、皆様との対話を通じていつでも喜んで情報を共有させて頂きたいと思っておりますことをお伝えすることが重要だと考えています。
私どもは、欅坂46のメンバーの方々が着ていらしたコスチュームに悪意的な意図があったのではないと十分に理解しております。
現在、ソニーミュージック様と連絡を取り合っているところであり、メンバー、プロデューサー、ソニーミュージックの方々とホロコーストの記憶について一緒に理解を深める機会を持つことができましたら当館としてとても幸いに存じます。
また、当館は、日々の業務を通して、ホロコーストの歴史に関する理解を深める取り組みをされている各種団体を支援させて頂くとともに、セミナーなども度々開催しております。
ホロコーストの歴史を学ぶことは、嫌悪や人種差別、暴力などと戦うという普遍的なメッセージでもあります。私どもは、この普遍的なメッセージを推進していきたいと考えていらっしゃる方どなたとでも協力をさせて頂きたいと願っております。
イスラエル大使館は「コスチュームに悪意的な意図があったのではないと十分に理解しております」と、ナチスを礼賛するような意図はみられなかったという見解を示した。
その上で、「ホロコーストの歴史を学ぶことは、嫌悪や人種差別、暴力などと戦うという普遍的なメッセージ」「この普遍的なメッセージを推進していきたいと考えていらっしゃる方どなたとでも協力をさせて頂きたい」と、あくまで対話を通じてホロコーストの歴史的背景を伝えたいという姿勢を示した。
対話相手については「メンバー、プロデューサー、ソニーミュージックの方々」を招待したいとの意向を示していたが、4日夜の発表では「ソニーミュージック様と、ホロコーストの歴史についての対話をする機会」と記すに留めており、現時点で欅坂46のメンバーや秋元康氏が参加するかは不透明だ。
また、ハフポスト日本版では「2011年にもソニー関連企業のアーティストのナチス風衣装が抗議を受けた事案があったが、同様の事態が起こった背景について」「海外でもナチスやヒトラーがパロディにされていることについて」「招待に対する批判的な意見について」などの点も問い合わせたが、個別の質問に対する回答は得られなかった。
■抗議のユダヤ人団体「アイドルグループがユダヤ人を傷つける意図がなかったにしても…」
問題となった衣裳について、「欅坂46」の秋元康プロデューサーとソニーミュージックを名指しで批判、謝罪を要求したアメリカのユダヤ人団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」のエイブラハム・クーパー副所長も、10月31日の抗議文の中で以下のように指摘している。
アイドルグループがユダヤ人を傷つける意図がなかったにしても、ナチスの被害者の記憶を軽んじるパフォーマンスであり、ネオナチが勢いを増すドイツを初めとする世界各国の若者に間違ったメッセージを発するものです。今回、日本の評価を低下させたソニーは国際的なブランドであり、改善を期待しております。
ソニーミュージックをめぐっては、2011年にも関連企業のマネジメント会社ソニー・ミュージックアーティスツに所属するアーティストの衣装が「ナチスの制服に似ている」として、サイモン・ウィーゼンタール・センターから抗議を受け、「イデオロギー的な意図はなかった」と釈明した経緯がある。
11月6日午前9時半現在、ソニー・ミュージックエンターテインメントの公式サイトでは謝罪文が掲載されているが、イスラエル大使館との「対話の機会」に関するリリースなどは発表されていない。
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