オーストリア北部ブラウナウに残るナチス・ドイツの独裁者アドルフ・ヒトラー(1889~1945)の生家として知られる建物について、同国のヴォルフガング・ソボトカ内相は建物を取り壊す方針だと述べた。「ネオナチ(ナチズムの信奉者)の聖地」となるのを防ぐためだという。現地紙プレッセが伝えた。
オーストリア政府は7月、この建物を強制収用すると決定したが、遺産保護区域となっている旧市街中心部にあることから取り壊しに反対する声や、博物館など教育への活用を求める意見も出ていた。そのため内務省は、「さまざまな選択肢を検討する」としていた。
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ソボトカ内相はプレッセ紙の取材に対し、建物の基礎は残るかもしれないとした上で「取り壊して新たな建物を建設し、慈善団体か地元自治体に使ってもらう」という方針を説明した。
オーストリア政府は1972年からヒトラーの生家を借り上げ、障害者施設などに使用していたが、建物の所有者が2011年夏に建物の改修を拒否。買い取り交渉にも応じず、建物は約5年にわたって空き家となっていたが、ヒトラーの生家ということでネオナチの聖地になるのでは、という懸念の声も出ていた。
家賃は月4800ユーロ(約54万円)だった。
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ヒトラーは「ナチス・ドイツの独裁者」だったが、出身国はオーストリア(旧オーストリア=ハンガリー帝国)。1889年4月20日、同国北部のブラウナウで税官吏の息子として生まれ、生後5週間ほどのわずかな間だけだが、この家で育ったとされる。
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