海女はまるで人魚のようだった。北斎や歌麿の手で描かれた、江戸時代の女性たち(画像集)

江戸時代、海女は腰巻きだけをつけて海へ潜っていた。

葛飾北斎「あわびをとる女性たち」(© RMN-GRAND PALAIS (MUSÉE GUIMET, PARIS) / THIERRY OLLIVIER)

海に潜って貝や魚、真珠を集める日本の海女は、まるで美しい妖精のように描かれてきた。

現在はウェットスーツなどを着用しているが、江戸時代は腰巻きだけをつけた、ほぼ裸の状態で潜った。30メートルの深さを2分間も息を止めて泳ぐ姿は、まるで人魚のようだ。その技術は世代から世代に伝えられ、今に至るまで受け継がれている。

彼らの姿は、江戸時代の著名な画家で浮世絵師である、葛飾北斎や喜多川歌麿の作品から垣間みれる。

喜多川歌麿「あわび取り」(© RMN-GRAND PALAIS (MUSÉE GUIMET, PARIS) / THIERRY OLLIVIER)

北斎や歌麿ら、著名な江戸時代の画家たちが女性たちを描いた作品が、フランス・パリにあるギメ東洋美術館「欲望を映す鏡:日本画の女性たち」展で紹介された。当時の画家たちは、大きな波や桜、猫など、様々な題材の作品を生み出したが、展覧会では、女性を描いた作品を集めた。

描かれている女性は海女だけでなく、芸者や売春婦と幅広い。お花見に出かける姿、粉をはたく姿、髪を整える姿、船の上で男性と身体を重ねる姿、真珠を採るために海に潜る姿……生活の営みを捉えた作品だ。

「美人画」とも言われる女性の美しさを描いた作品は、大抵男性の目を通して描かれている。しかし展示された作品には、女性同士の交流や、自分の内側をのぞき込もうとする場面など、繊細な気持ちの動きが美しく描かれている。当時人気だった春画もある。

どことなく親近感を感じられる場面は、派手ではないが特別の輝きがある。2つの鏡を使って、手の届かないうなじの髪を見ようとする、といったちょっとしたしぐさは、見るものの興味をかき立てる。展示会で紹介された絵から、数百年前の女性の生活をのぞいてみよう。

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※「欲望を映す鏡:日本画の女性たち」はギメ東洋美術館で2016年10月10日まで開催されました。

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。