スマートフォン「Galaxy Note 7」の相次ぐ発火事故で、アメリカや韓国などで生産・販売中止に追い込まれた韓国・サムスン電子の損失が、7兆ウォン(約6400億円)に達する見通しとなった。ハフポスト韓国版が伝えた。
サムスン電子は10月14日、「2016年第4四半期から2017年第1四半期までの機会損失が3兆ウォン台半ば(約3200億円)に達すると予想される」と明らかにした。「機会損失」は、販売を見込んでいたが販売できなかったことで生じた損失を意味する。
サムスン電子は「販売中止に伴う(リコール費用などの)直接費用は、第3四半期の業績にすべて反映させたが、2016年の第4四半期と2017年第1四半期まで影響が続く」と予想している。
サムスン電子は12日に、第3四半期の業績(速報値)の営業利益を7兆8000億ウォン(約7150億円)から5兆2000億ウォン(約4800億円)に下方修正した。2兆6000億ウォン(約2400億円)の営業利益の減少分は、「Galaxy Note 7」の返金、交換、回収、在庫処理(廃棄)、販売管理、マーケティングなどの各種費用を反映している。
当初発表した速報値には、当初の世界規模のリコール費用(1兆〜1兆5000億ウォン)のみ反映しており、合計すると最大4兆ウォン台に達する。14日の追加発表と合わせると、Galaxy Note 7のリコールに伴う損失総額は7兆ウォンに達すると試算される。第3四半期のIM(ITモバイル)部門の営業利益は、当初4兆3000億〜4兆5000億ウォンと予想していたが、ほぼゼロに近くなるとみられる。
サムスン電子はまた、製品の安全性を強化するために、内部の品質チェック過程を全面改編するなどの方針を明らかにした。
8月にアメリカや韓国で発売(日本では未発売)されたGalaxy Note 7は、充電中にリチウムイオンバッテリーがオーバーヒートし、発火や爆発するとの申し出が相次ぎ、アメリカ消費者製品安全委員会(CPSC)は9月15日、リコールを発令した。
しかし、アメリカで10月5日(現地時間)、改修後の製品とみられるGalaxy Note 7が飛行機の離陸10分前に発火し、乗客が緊急避難する事故が発生。ほかにも発火したとの報告がアメリカや台湾で相次ぎ、サムスン電子は10日、韓国とベトナムの工場で生産を中止。販売も全面的に中止していた。リコール台数はアメリカだけで約190万台と、スマホとしては史上最大の数になった。
▼画像集が開きます▼
※画像集が表示されない場合はこちらへ。