「ずっと街を見守ってやるニャン」トルコの名物猫、亡くなった後も同じポーズで佇む

実はこの銅像は渋谷の「ハチ公」の映画を見て思いついたんです。(発起人のバトゥ・アクソイさん)
Anadolu Kedisi

トルコ・イスタンブールで人々に愛されていた野良猫のトンビリが亡くなって約2カ月が経った10月4日、彼女がいつも座っていた場所に、ボランティアの人々によって設置された銅像がお披露目された。歩道の段差に肘をかけてくつろぐお馴染みのポーズはそのままに、彼女は今でも街の人々を"ちょっと上から目線で"見守っている。

トンビリは、特定の飼い主ではなく、その地域に住む人々が共同で飼育と管理をしている「地域猫」として愛されていた。それだけでなく、そのふてぶてしく見える態度がアップロードされると、瞬く間にネット上で話題となり、多くの「ネタ画像」が作られるなどその人気が世界中に広がった。

彼女の死を知り、悲しみ、銅像設置に動いたのは、イスタンブールで地域猫と人との共生に取り組んできた「アナトリア猫プロジェクト」のメンバーたち。ネットで1万7000人を超える署名を集めて、トルコのカドゥキョイ市に請願、制作はボランティアの彫刻家が手がけて銅像の設置が実現した。

ハフポスト日本版の取材に対して、プロジェクト発起人のバトゥ・アクソイさんは以下のように狙いを語っている。

--設置の狙いは

トンビリの存在はもはや伝説的です。すでに世界で有名な猫になりましたから。数え切れないぐらいの「ネタ画像」が彼女の写真から生み出されネット上にアップされました。自信ありげで、カリスマ性のある彼女のポーズに惹かれたんですね。彼女はとっても特別な猫だということを皆が知っています。多くの人が足を止めて見てくれることを期待しています。

--なぜそんなに情熱を燃やすことができたのですか。

自由に生きた彼女の死を知った人は、直接知っている知らないに関わらず、皆悲しみました。おそらく世界中にそのような、地域で愛された猫がいるでしょう。しかし、すぐに思い出は消えてしまう。私は彼女の思い出がフェードアウトしてしまうのを止めたかったんです。本当に多くの人が賛同してくれて署名が集まり、行政もサポートしてくれることになりました。

--普段はどんな活動をしているのですか。

我々は2012年から活動を始めました。もっとも主要な目的は、地域に固有の「アナトリア猫」について知ってもらい、正しい知識に基づいて地域猫と人とが共生することについて考え、啓発することです。イスタンブールは猫を愛する人々の街で、他の土地から来た人々は皆、地域で猫が温かく育てられていることにびっくりするんですよ。

--日本でも街の人々に見守られる地域猫が多く存在します。

はい、私たちも日本とイスタンブールが猫を愛するという点で非常によく似た文化を持っていることに驚き、感激しています。

実はこの銅像設置は渋谷の「ハチ公」の映画"Hachi: A Dog's Tale"を見て思いついたのですよ。あれは動物と人との関わりを描いた素晴らしい映画でした。プロジェクトのメンバーはみんな泣きましたよ。日本の皆さんとも、地域猫やその文化について意見交換をしたいと思っています。

アナトリア猫とバトゥ・アクソイさん

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