9月21日に近鉄駅ホームで人身事故の対応中だった車掌が線路上に逃走し、高架橋から飛び降りた問題について、Twitterでは「近鉄に社員を守ってと呼びかけよう」という動きが発生している。
近鉄によると、奈良線では、21日、別の駅で発生した人身事故で一時上下線の運転を見合わせていた。午前11時ごろ、この車掌は案内などのために東花園駅のホームで乗客応対をしていたが、約10分後に制服・制帽などを脱ぎ捨てて線路上に逃走、さらに駅の高架橋(約8.5メートル)から地上に飛び降りて救急搬送された。腰椎などを骨折するけがを負ったという。
乗客応対時の様子について、毎日放送(MBS)などは目撃者の情報として、乗客から喧嘩腰の発言があったと報じている。
「乗客6,7人に囲まれて、喧嘩腰に言われていた。駅員さん、すごいちゃんと冷静に対応したはるんだなと感じてて…」(目撃した乗客)
(乗客対応中の車掌、線路を走り高架から飛び降りる|MBS 関西のニュースより 09/21 20:17)
近鉄の広報担当者は「不適切な行動だった」として謝罪しているが、こうした状況が報じられると、Twitter上では海外の事例などから「今のままだとクレーマーのやりたい放題」(ジャーナリストの佐々木俊尚さん)のような意見が多数投稿されている。
■「職員をクレーマーから守って」
さらに、Twitterでは、「近鉄に社員を守ってと呼びかけよう」という動きも発生した。
呼びかけている人々は、公式サイトの要望意見フォームから声を送信しようなどと投稿している。
■近鉄「常に真摯に対応」
ハフポスト日本版では近鉄広報に再び問い合わせ、こうしたネット上での意見について話を聞いた。
--ネット上では、「過剰なクレーマーには対応しないようにマニュアル化されている」といった別のサービス業の話も投稿されています。近鉄ではそのような対応マニュアルのようなものはありますか
特段ないです。常に真摯に対応するということになっています。
--行き過ぎたクレームの場合でもですか
暴力行為、特にお酒に酔った乗客の暴力行為などに対しては、複数人で対応するようにという指導はあります。ただ、普段の遅延ですとか、こちらがお詫びしなくてはならないことでは、お客様のお声を聞いて真摯に対応するということになっていますので、特段の規定はありません。ダイヤの乱れはこちらがご迷惑をおかけしていることですので、根気よく理解していただく必要があります。
--飛び降りて骨折したという車掌さんですが、その後容態はいかがでしょう
特段変化はないと聞いています。入院は続いていますが、命に別条はないと聞いています。
--車掌さんですが、持病などを抱えていて、乗客応対が難しい状態だったということはありませんか
今の所そういう報告はないです。
■駅員への暴力、年900件近く
国土交通省は、鉄道の駅や車内での駅員、乗務員に対する暴力の件数を調査している。その結果、2016年度に発生した暴力行為は全国で887件だった。
2015年度より35件増えているが、2014年度は932件で、例年900件前後の件数で暴力行為が発生していることがわかる。国交省は「暴力行為の発生件数は、昨年に続き高い水準にある」として、警察などと連携した取り組みをしている。飲酒した乗客によるものが62%(546件)を占めていた。
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