ブルキニの女性、フランスのビーチから「出て行け」と脅される(画像)

「私たちがビーチにいるのが気に入らないようでした」

フランスでは南部ニースなど、国内のビーチでイスラム教徒の女性用に全身を覆い隠す水着「ブルキニ」の着用が禁止された。フランスの行政裁判の最高裁にあたる国務院がブルキニ禁止令を凍結する判決を下したものの、守られていないようだ。

オーストラリア出身のイスラム教徒の女性が、9月18日にオーストラリアのテレビ局「チャンネル7」の番組「サンデーナイト」に出演し、「フランス南部のリゾート地ヴィルヌーヴ・ルベのビーチから追い出された」と話した。

ゼイナップ・アルシェルさんと母親は、ヴィルヌーヴ・ルベのビーチで追い出された。ビーチがあるコート・ダジュール地方をはじめ、フランス国内でイスラム急進主義を支持する「挑発」とみなす人が現れたからだ。

アルシェルさんと両親は、イスラム教徒の女性たちと団結するために、オーストラリアからフランスにやって来た。

アルシェルさんは23歳の医学生で、イスラム教徒の女性たちと結束を高めるために両親と一緒にフランスにやって来たと「チャンネル7」に語った。「ここに住むイスラム教徒の女性たちが普通の生活を送るために、私たちに何ができることがあるんじゃないか。そう思ったのです」

彼女が出演した番組は8月18日夜に放送された。地元の人たちが「警察を呼ぶ」とアルシェルさんと母親を脅し、侮蔑する様子が放送された。

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「ビーチから出ていくよう脅されました。そうしないと、彼らは警察を呼ぶと言ったのです。私たちがビーチにいるのが気に入らないようでした。ビーチではブルキニ禁止令が凍結されていましたが、地元の人たちは快く思っていませんでした」

アルシェルさんは、ビーチにいた人たちがいら立ち、嫌な顔をしていたのを目の当たりにしたという。

アルシェルさんは、「イスラム教徒への差別はビーチから始まっていますが、どこで終わるかは誰にも分かりません。拒絶され、法律で国民に差別を助長させるような国にいい印象を持つことはできません」

「少なくとも、オーストラリアでは多少の人種差別はありますが、政府が人種差別を認めることはありません」

「馬鹿げていて、危険です。これはダイバーシティ(多様性)に対する戦いなんです」

アルシェルさんにブーイングするビーチの人たち

これはニースのビーチで寝ていたブルキニの女性を4人の警官が取り囲む写真が騒動になった後の話だ。警官たちは水着を強制的に脱がせ、ブルキニ禁止令に従わせようとする様子が写っていた。

AP通信によると、2つの人権団体の弁護士らが、裁判所に対し禁止令の合法性に異議を申し立てた。禁止令は基本的自由を侵害し、ニース市長たちはビーチでの女性の水着について権限を越える行動をしたと話している。

ニース市長らは7月14日にイスラム過激派によるテロ攻撃を受けてから、公共の秩序について懸念を示していた。また、多くの当局者が「ブルキニは女性を虐げている」と主張した。

アルシェルさんは語る。「馬鹿げています。ブルキニは忠誠の象徴です。宗教の象徴です。イスラム教の象徴です。ヒジャブを着るのもそうです。外見より、内面に目を向けなければなりません」

ブルキニを考案したオーストラリアの女性アヘダ・ザネッティさんは、禁止令を受けてオンライン販売が200%急増したと話している。

ブルカとビキニの混成語であるブルキニの本来の目的は、「イスラム教徒の女性にオーストラリアのビーチを楽しんでもらい、彼女らに選択の機会を与えることだった」と、ザネッティさんは言う。

ザネッティさんはまた、「もしイスラム教の女性たちがビキニを着たいと言ったら、そうする選択の自由を与えるべきだ」とも話した。

彼女は「この世界では着ていいものと、着てはいけないものを誰も指図できません」と語った。

ハフポストUK版より翻訳・加筆しました。

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