ドナルド・トランプ氏の髪の毛をグシャグシャにしたTV司会者に怒りの声 なぜ?

どう見積もってもつまらないインタビューだった。

2016年9月15日のジミー・ファロンとのインタビュー中、髪の毛を乱される共和党の大統領候補者であるドナルド・トランプ。

NBCのトーク番組「ザ・トゥナイト・ショー」の司会者ジミー・ファロンは9月15日夜、アメリカ大統領選の共和党候補ドナルド・トランプをゲストとして招いた。この時、話題になったのは、ファロンがトランプの髪の毛をグシャグシャにしたことだった。

インタビューが終盤に向かう中、ファロンがトランプに生番組で「その有名な髪の毛を、グチャグチャにしてもいいですか」と尋ねた。その場面の動画は、視聴者が大笑いし、ネット上ではパロディー動画が次々と上がるなど大騒ぎとなった。

トランプの髪の毛をいじる前に、ファロンは微妙に皮肉を織りまぜていた。例えば、トランプに「コインがどんなものか知っているか」と尋ねてみたり、「大統領にはなりたくはないと決断すれば、まだ撤退する時間はある」と言ってみたりしていた。しかし、ファロンのインタビューはおおむねトランプの宣伝放送になってしまい、俳優が義務的にドラマ番組の宣伝ツアーをする時に番組司会者が優しくしてあげるかのような言葉のやりとりに終始してしまった。

インタビューの間中ずっと、ファロンは予想通り無防備な状態でトランプがすることには何でも協力する姿勢だった。「ハンバーガーを注文する前にそれを食べるのが自分だと知られたら、ハンバーガーに何か嫌がらせされそうで怖い」と、トランプが冗談を言ったとき、ファロンは椅子にふんぞり返ってその冗談に対してかなり大げさに笑った。この冗談はそれほど面白かっただろうか? いや、面白くなかった。

おそらく、私たちはファロンにこれ以上期待するべきではない。インタビューの後で何人かが指摘したとおり、彼はコメディアンでありジャーナリストではない。彼の仕事は、何よりもまず観客を楽しませることだ。真実を暴くことではない。そして特にファロンは敵をつくることが目的ではない。彼がもっぱら愛しているのは笑いだ。

しかしテレビ番組の司会者たちは能力を発揮し、笑いと責任の間にある難しい一線を守っている。1番上手なのはCBSのトーク番組「レイト・ショー」のデイヴィッド・レターマンだ。彼はオンエア中に繰り返し真実を明らかにしている。トランプにインタビューしたときも、彼はトランプが着ていた服の中に中国製品があることを指摘した。トランプは中国を批判して支持率を上げている。それはエンターテインメントだったが、とても重要なことだった。レターマンはエンターテインメントと重要な話を同時に実現させる方法を知っている。

ファロンはレターマンではないし、将来なることもないだろうし、なりたいようにも見えない。だからといって、排外主義者で人種差別主義者・女性蔑視的で嘘ばかりつくトランプを人間らしく見せることを許していいのか。ファロンは15日、まさにこれをしてしまった。それに比べて、NBCのトーク番組「レイト・ナイト」の司会者セス・マイヤーズは、宣伝になるような露出を避けるために、トランプの番組への出演を禁止した。

【参考記事】

トランプはこれまでに見たこともない候補だ。彼の選挙活動は、仲間の芸能人はおろかプロのジャーナリストも困惑している。トランプはテレビやインタビューで流暢に話し、自分の気に入らないどんな質問もうまくかわすことができる。だから、ある意味、ファロンはおそらくシリアスな状況になってもトランプに食い下がることができないのはわかっていたはずだ。しかし、その一方で、あれはどう見積もってもつまらないインタビューだった。ファロンが、それなりに非難を受けるのはやむを得ない。

ジミー・ファロンがしくじった。深夜帯は、コメディアンが視聴者を楽しませるため道化師になる時間だったはず。外国人差別主義者に親しみを感じさせるのは、よろしくない。

私はジミー・ファロンにジャーナリズム精神がないことは責めない。地獄の道化師として、奴に奉仕しようとしていることは責める。

ドナルド・トランプの髪をこんな風に掻き回すと君は100万ドルもらえるかもしれないが、君の知ってる (または知りもしない) 少数派たちは死ぬだろう。

トランプ: 野蛮な有色人種の不法入国者たちは、殺人や騒ぎを起こすために通りをうろついているんだ。 

ファロン: え? なんだって? アハハ、ワオ!

トランプ: あいつらは全員国外追放だ。

ファロン: (大爆笑)。

トランプ: 私に刃向かうもの全員に思い知らせてやる。

ファロン: (笑いくずれる) 参りました!

ラリー・ウィルモア (アフリカ系アメリカ人のトーク番組司会者) は共演を拒否されたに違いない。

(敬称略)

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ハフポストUS版編注:ドナルド・トランプ氏は世界に16億人いるイスラム教徒をアメリカから締め出すと繰り返し発言してきた嘘ばかりつき極度に外国人を嫌い人種差別主義者ミソジニスト(女性蔑視の人たち)、バーサー(オバマ大統領の出生地はアメリカではないと主張する人たち)として知られる人物である。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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