草間彌生のインスタレーション「Infinity Mirror Room(無限の鏡部屋)」の1風景 - 「Phalli’s Field (Floor Show) 男根の庭(フロアショウ)」より 1965; 綿ぬいぐるみ、ボード、鏡; Castellane Gallery、ニューヨーク、1965
アーティストの草間彌生は、70年もの間、自身の使命は「その存在自体を消し去って、あやふやな空間を作ること」にあると考えて実践してきた。彼女の美的感性にとって、身体は無限のような存在の中に溶解させることである。この美学が、優れた作品を生み出してきたことにも触れておかねばならない。
有限と無限の空間を体験することに興味のある人たち、あるいは、アート好きでInstagramにたくさんの「いいね!」が欲しい人たちに朗報がある。草間の驚くべきキャリアを網羅する特別巡回展「草間彌生: Infinity Mirrors」が、2017年から2018年にかけて、アメリカとカナダの4つの大きな美術館で開催されるのだ。たくさんの鏡やカボチャ、輝くLEDライト、男根像や水玉模様が見られるだろう。
草間の巡回展は、主催のワシントンDCの中心部にあるハーシュホーン美術館と彫刻庭園で2017年2月から開始される。その後シアトル美術館、ロサンゼルスのザ・ブロード、オンタリオ美術館、そしてオハイオ州のクリーブランド美術館を巡回する。
KARIM SAHIB VIA GETTY IMAGES
(ロサンゼルスのダウンタウンにある美術館)ザ・ブロードの常設展では現在、草間彌生の「Infinity Mirrored Room」 が展示されている。暗い閉塞された空間には、鏡の壁、水反射のプール、無数のLEDライトが設置されており、この空間に足を踏み入れると、銀河を浮遊するような感覚になる。
インスタレーションを体験できるのは1度に1人のみ。最大30秒間で、長い列がすぐにできる。2017年の10月には「Infinity Mirrored Room」に加え、草間による6つの新しい「無限の部屋」が展示されるという。
「無限の部屋」には「Infinity Mirror Room ― Phalli’s Field 1965/2016」も含まれる。一面に赤い斑点の男根塊茎が生い茂る、鏡をあしらった空間である。また「Infinity Mirror Room ― Love Forever, 1966/1994」(無限の鏡部屋 - 永遠の愛)も展示される。これは、色光の瞬きや反射が空間に延々とエコーし、室内にいる観覧者は外側からのみ微かに見えるといった作品である。
草間自身の象徴的作品「The Obliteration Room、 2002」(消滅の部屋) も展示される。これは白い空間を訪れた人々が、様々な色の水玉ステッカーに覆われ、まるで万華鏡のように色彩が来襲する広がりのある空間に変容するというものだ。
草間彌生「The Obliteration Room、2002〜現在」; 家具、白色塗料、水玉ステッカー、可変的次元; 草間彌生とクイーンズランド・アートギャラリーのコラボレーション; クイーンズランドアートギャラリー (オーストラリア) 委嘱作品; 2012年にアーティストがクイーンズランド・アートギャラリー財団に贈呈; クイーンズランドアートギャラリー (オーストラリア、ブリスベン) のコレクション
6つの「無限の部屋」 に加えて、60以上の絵画、彫刻、ドローイングが展示される。その中にはあまり知られていないコラージュ作品も含まれる。このエキシビジョンは、空想的アーティストの人生とその仕事をくまなく巡るもの。幻覚的な作品は、私たちが住む世界を少しだけシュールなものにする。
「『無限の部屋』のエキシビジョンを開催するには、いいタイミングだろう。また草間彌生の20世紀、21世紀アートへの貢献に深く注目する機会としても申し分ない」ザ・ブロードの創立ディレクターJoanne Heylerはこう述べる。「この驚異的アーティストの70年間の作品を、前例がない特別展として来年ザ・ブロードで展示できることに興奮している」
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「草間彌生:Infinity Mirrors」 の巡回展は次の通り。
2017年2月23日〜5月14日、ハーシュホーン美術館と彫刻庭園
2017年6月30日〜9月10日、シアトル美術館
2017年10月〜2018年1月、ザ・ブロード
2018年3月〜5月、オンタリオ美術館
2018年7月〜10月、クリーブランド美術館
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。