NFL(米フットボールリーグ)のサンフランシスコ49ersのスタープレイヤー、コリン・キャパニック選手が、8月26日の試合前のアメリカ合衆国国歌演奏でベンチに座ったまま立ち上がらなかったことが物議をかもしている。キャパニック選手は、起立を拒否した理由として、「黒人や有色人種への差別がまかり通る国に敬意は払えない」と話した。NFLメディアなどが報じた。
ベンチに座ったままの姿が撮影されたキャパニック選手(背番号7、オレンジ色の台のそば)
キャパニック選手が指摘しているのは、ルイジアナ州バトンルージュなど各地で白人警察官が黒人を射殺するなど、黒人や有色人種への人種差別的な事件が多発するアメリカ国内の状況だ。NFLメディアによると、キャパニック選手は「それは私にとってフットボールより大事なこと。見て見ぬふりをするのは自分勝手だ」とインタビューで話した。
キャパニック選手は、白人家庭で養子として育てられた。実の父親は黒人と言われている。インタビューで、「私は白人の(育ての)両親や(亡くなった)姉や兄と明らかに違うことを感じていた」と幼いころの葛藤を語っていた。高校時代は秋にアメフト、冬にバスケットボール、春に野球をプレーする「スリーシーズン・アスリート」として活躍、3種目で州代表になった。NFLだけでなく、MLB(米野球リーグ)ドラフトでシカゴ・カブスより指名された逸話も。サンフランシスコ49ersでは、クオーターバックとして活躍している。
これに対し、一部のファンなどからはアメフトやアメリカ合衆国に対して「失礼だ」との批判が殺到。ユニフォームに火をつける動画をツイートする人物も現れた。動画には称賛の声がある一方で、非難の声も寄せられている。
だが、NFLメディアはキャパニック選手の以下のような言葉を伝えている。
だれかに分かってもらいたい、認めてもらおうという気持ちはない。虐げられている人々のために立ち上がらなければという思いだ。たとえアメフトを取り上げられても、選手資格を奪われても、私は正しいことのために立ち上がった。
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