のん(能年玲奈)がアニメ映画声優で主演「制作側がホントに欲した声」と監督

「この世界の片隅に」は、第2次世界大戦中の広島・呉が舞台。のんへの改名後初の本格的な出演作となる。
こうの史代・双葉社 「この世界の片隅に」製作委員会

女優ののん(本名・能年玲奈)さんが、11月12日に公開されるアニメ映画「この世界の片隅に」で主人公「すず」の声優を務めることが発表された。改名後、初の本格的な出演作の発表となる。

発表されたのんさんのコメントは以下の通り。

--オファーを受けた時の気持ちは?

すごく本当に、とんでもなく嬉しくて、なんか地面からふわっと浮いちゃいそうなくらい嬉しかったです!

--声優に挑戦しようと思った理由は?

映像を見させていただいたり、原作も読ませていただいて、すごい映画だと思ったので、ぜひやりたいと思いました。

--アフレコのお仕事はいかがですか?

別世界だなというのを痛感しました。体全部を使って演技をする時は、直接皮膚感を何も考えずに使えるのですけど、声だけでそれを全て表現するのは難しくて、全然違うなと思いました。すごく楽しかったです。

--アニメの世界の中に入った印象は?

映像を見させていただいた時に、セリフが入っていなくても絵だけですごく泣けてくるというか、ここに声をのせていくのは簡単じゃないなと、心して挑んでいます。すごく嬉しいのですが、(完成が)どんな感じかなって思っています。

--原作を読んでみた感想は?

私は、戦争や暴力の描写が嫌いで苦手で、目を向けないで拒んでいたところがありました。(戦争は)非日常なもので別次元のものと思っていたのですが、原作を読ませていただいて、日常と隣り合わせに戦争があったのかもしれないなと感じて、今まで拒んできたものに目を向けてみようと思いました。

--広島弁はいかがでしたか?

難しいですね(苦笑)。標準語でいけちゃうところとかあるんですけど、言葉自体は「何々しとる」とか関西弁っぽいところもある。なのに、イントネーションは標準語、みたいなところがあったりして難しかったです。でも可愛いなと思ったので、頑張ってしゃべりました。

--すずさんはどういう女性だと思いますか? 共感することなどありましたか?

感情が沸きたった時に、がーって絵を描いていく感じがすごく共感しました。すずさんはぼーっとしていると言われながらも、パワフルでポジティブなところに共感しました。劇中ですずさんがやっているような着物のリメイクにも挑戦してみたいです。

--アフレコ中に苦労したことや楽しかったことはありましたか?

最初はすごく難しくて、どうしたらいいんだと悩んだんですけど、やっていくうちに絵に息を吹き込むというのが楽しくて。あぁ、声優さんはこういうことをされてたのかと思うと興奮しました。

--すずさんは戦時中でありながらも日々を楽しんで生きていますが、何かやってみたいと思ったりしたことはありますか?

実際に着物からもんぺを作ったり、野草でごはんを作ったりとかやってみたいなと思いました。すずさんが一生懸命なんだけど、すごく楽しみながら節約したり、リサーチしているのを見たら、とてもおもしろそうと思いました。

--クラウドファンディングで製作が決定した作品ですが、こういう作品に関わることになった今のお気持ちは?

観たい映画を一緒に制作していくという、応援してくださってるみなさんがこの映画を一緒に作っているというのが本当に素晴らしいことだなと思います。私もそこに参加させていただけることがすごく嬉しいです。

--コトリンゴさんの「悲しくてやりきれない」を聞いた感想はいかがでしたか?

コトリンゴさんの手によって映画の世界に溶け込む音になって流れていて、あの景色に流れてくるのが、心の中に直接、呉の広島の当時の映画の中の空気に触れた気にさせてくれるような感じで素敵でした。

--本作を楽しみに待ってくださっている日本のみなさんへ見どころ・メッセージをお願いいたします。

普通に生活しているとか、ただ生きているっていうことが、あぁやっぱり普通っていいな、と思える映画だと思うので、そういうのを感じていただきたいなと思います。そして、是非ご家族を誘って見ていただきたい。大切な感覚を一緒に共有出来ると思うのです。

  ◇

「この世界の片隅に」は、第2次世界大戦中の広島・呉が舞台。絵が得意な少女すずが、18歳で一家を支える主婦となり、戦争の影響で変わっていく街や暮らしの中でも工夫をこらして食卓を彩っていく姿などが描かれているという。

原作は、こうの史代さんの同名漫画で、片渕須直さんが監督を務めた。片渕さんは映画『マイマイ新子と千年の魔法』で第14回文化庁メディア芸術祭 優秀賞を受賞したアニメ監督。

片渕須直監督はキャスト発表後、自身のTwitterで、台本はもともとのんさんのイメージで当て書きされていたと明かし「片思いに終わらなくてよかったです」とツイートしている。

さらに、のんさん演じる主人公「すず」のアフレコは最後に行われたとも投稿。「のんちゃんの、のんちゃんとしての再出発の時期が最後のギリギリに間に合った感じです。奇跡的とも感じます」と思いをつづった。

のんさんはNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」で大人気女優となったが、所属事務所とのトラブルの後に、契約を終了。本名の「能年玲奈」から「のん」への改名を発表していた。所属事務所側は「法的措置も検討」と発表し、テレビ出演などは限られたものになっていた。

この映画は2015年にクラウドファウンディングで3374人から目標を大きく上回る4000万円に近い資金が調達されたことでも話題になった。

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