
フランス南部ニースで7月14日、花火を見ていた人々の中に暴走したトラックが突っ込み、少なくとも77人が死亡した。フランスのエロー外相はテロ事件だという認識を示した。この日フランスは「革命記念日」と呼ばれる休日だった。
■フランスでは、なぜ7月14日を「革命記念日」と呼ぶのか
7月14日が「革命記念日」とされる由来は、今から227年前の1789年にまでさかのぼる。
当時フランスはブルボン家が支配する絶対王政の国で、度重なる戦争による財政難にあえいでいた。しかし、聖職者や貴族などの特権階級には免税が認められ、広大な土地とあらゆる官職を独占していた。その一方、国民の90%を占めた平民たちは厳しい生活を強いられていた。農民は地主からの重税に苦しみ、市民は経済的な自由を求めていた。さらに折悪く、フランスでは天候不順による凶作も発生。経済的にも社会的にも、不安が高まっていった。
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当時の世相を風刺した絵。平民が、貴族と聖職者を背負って苦しむ様子が描かれている。
こうした中で平民たちは、自分たちこそが国民を代表するものだとし、議会をつくり、憲法の制定を目指した。これに対し国王ルイ16世や保守的な貴族たちは平民たちを武力でおさえこもうとした。
危機を感じた民衆たちは1789年7月14日、武器・弾薬を求めて政治犯が収容されていたバスティーユ牢獄を襲撃。この報が全国に伝わると、フランス各地でも蜂起が起こった。1793年1月、国王ルイ16世は断頭台で処刑され、フランスは国民が主権を持つ「共和制」の国となった(第一共和制)。
こうしたことから、7月14日という日はフランス革命の端緒となった日であると同時に、今の「フランス」という国を形づくるきっかけとなった重要な日とされている。
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バスティーユ牢獄襲撃事件
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ルイ16世の処刑
■現代では、軍事パレードや花火でお祝いも
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革命記念日の軍事パレード
現在のフランスでも、7月14日の「革命記念日」は重要な祝日とされている。2016年もパリ中心部のシャンゼリゼ大通りでは、3000人以上の兵士や約200両の車列が凱旋門からコンコルド広場までの約2キロをパレード。上空では軍用機がフランス国旗にちなんだ赤、青、白の煙をたなびかせ、人々の目を楽しませた。
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赤、青、白の煙をたなびかせる軍用機
7月14日はパリ以外でも各地でダンスパーティーや花火大会などさまざまなイベントが催され、夏のバカンスの始まりを告げる祭りの日でもある。ニースで発生した事件も、その最中に発生したものだった。
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ニースでも革命記念日を祝う花火が打ち上げられていた
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