3日後に告示が迫った東京都知事選(7月31日投開票)に、宇都宮健児氏(69)も立候補を表明した。3回目の挑戦となる。
11日に東京都庁で記者会見した宇都宮氏は「今度こそ、クリーンな都政を実現するため、3度目の挑戦をする」と表明。待機児童や高齢者介護、低賃金労働などの問題は「都政を変えれば根本的な解決ができる」として、待機児童ゼロや小中学校の給食の完全無償化、高校の授業料完全無償化、給付型奨学金の実現、中小企業支援と最低賃金の1500円への引き上げなどを公約として示した。財源については「東京都が貯め込んでいる3兆数千億円の基金の一部を福祉に使っても問題ない。他の自治体と違って十分な財源がある」と主張した。
過去2代、政治と金の問題で知事が辞任したことから、都民が直接、都政を検証する「都民評議会」や「行政監視オンブズマン」を設け、過去の都政を徹底的に検証すると述べた。2020年東京オリンピックの費用の再検証や、2016年11月に迫った築地市場の豊洲移転の中断と、土壌の再検査の意向も示した。
知事選を巡っては、野党4党や市民団体に統一候補の擁立を模索する動きがあり、俳優の石田純一氏や元経産省職員の古賀茂明氏らの名前が挙がっていた。宇都宮氏は「このあと、野党各党を回って支援要請をしたい」と話した。野党統一候補に別の人物が挙がった場合、自ら辞退することもあるのかを繰り返し問われたが「真摯な気持ちでその方と相談させていただきたい」「ぜひその方と公開の場でお話をし、政策の議論もやりたい」と明言しなかった。
宇都宮氏は前回2014年の都知事選で、脱原発を訴えた細川護熙・元首相との一本化を求める動きもあったが、実現しなかった。宇都宮氏は当時の経緯について「独善的ではないかという批判もある」と指摘されると「細川さんの陣営には何回も公開討論を呼びかけたが、一切応じてもらえなかった。話し合いを拒絶したわけではない」と反論した。
舛添要一・前知事が方針を決めた韓国人学校への都有地貸与については「韓国人学校だからという点には問題がある。一方で保育所や特別養護老人ホームの建設用地が必要なのは間違いないことなので、それにふさわしいかどうか検討する余地がある」と述べた。
宇都宮氏は愛媛県出身。日本弁護士連合会の消費者問題対策委員長や会長(2010~2012年)を歴任した。脱原発などを訴えて2012年の都知事選では共産党、社民党、未来の党から推薦・支持を得て約97万票を獲得、2014年の都知事選では約98万票を得ている。
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