7月10日投開票の参院選で新聞各紙は6日、終盤の情勢調査の結果を「改憲勢力3分の2に迫る」(日本経済新聞)、「改憲4党、3分の2の可能性」(東京新聞)と伝えている。
自民、公明、おおさか維新、日本のこころの4党が、参院の3分の2を占めるかどうかが争点の一つになっている今回の参院選。国政政党9党は、参院選の選挙公約で憲法について、どのように訴えているのか。一覧でまとめた。
<憲法改正に前向き>
■自民党「国民合意の上に憲法改正」
わが党は、結党以来、自主憲法の制定を党是に掲げています。憲法改正においては、現行憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原理は堅持します。(中略)
そこで、衆議院・参議院の憲法審査会における議論を進め、各党との連携を図り、あわせて国民の合意形成に努め、憲法改正を目指します。
■おおさか維新の会 「時代に合った憲法に」
戦後70年を経て、時代に合った憲法に手直ししていくことは当然。
身近で切実なテーマについて改正を発議、国民投票に付していく。
01 能力を伸ばすチャンスを平等にする必要 ▶ 教育無償化
02 全国一律の規制は不合理(待機児童、大震災対応) ▶ 統治機構改革
03 昨年の安保国会の不毛な議論は繰り返さない ▶ 憲法裁判所の設置
■日本のこころを大切にする党「自主憲法の制定を」
我が党は、長い歴史と伝統を持つ日本の国柄と日本人のこころを大切にした、日本人の手による自主憲法の制定を目指す。
1.憲法上の天皇の位置付けを検討
2.国家緊急権に関する規定の整備
3.自衛のための戦力の保持
4.憲法改正の発議要件の緩和
<憲法改正に慎重>
■民進党「9条改正に反対、 未来志向の憲法を国民と構想」
海外の紛争に武力をもって介入しない、それが憲法9条の平和主義の根幹です。自民党の憲法改正草案のように9条を変えて、制約のない集団的自衛権の行使を憲法上認めることは許されません。平和主義を断固として守ります。
現行憲法の「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の理念は、戦後70年間にわたり国民が大切に育んできたものであり、堅持しなければなりません。このことを前提として、「新しい人権」や「統治機構改革」など時代の変化に対応した未来志向の憲法を国民とともに構想します。
■生活の党と山本太郎となかまたち「国民合意で加憲も」
日本国憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調という4大原則はあらゆる法律の根幹として、「いのち」、「暮らし」、「平和」を守ることに多大な貢献をしてきた。
こうした憲法の基本理念・原理は、現在でも守るべき普遍的価値であり、引き続き堅持する。その上で、時代の要請を踏まえ、国民の合意があるならば、国民の権利、国連の平和活動、国会、国と地方、緊急事態等の関係で一部見直し、加憲する。
■新党改革「憲法改正は時期尚早」
憲法改正を発議する前提に立って、とにかく改正ありきの進め方であってはなりません。国民皆さんと同じスピードで議論を深めて、何を守り、何を変え、何を加えるのかを考えることが、大切だと考えます。(中略)憲法改正は時期尚早です。
<憲法改正に反対>
■日本共産党 「憲法9条は世界に誇る宝」
日本国憲法は、世界でも最先端といっていい先駆的な内容を持っています。憲法9条は、恒久平和主義を徹底した、世界に誇る宝です。生存権、幸福追求権、教育を受ける権利、労働者の団結権をはじめ、30条にわたる豊かで先駆的な人権規定を持っています。政治的権利とともに経済的権利を明記する、世界に誇るべき憲法です。
いま変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにしてきた政治です。
日本共産党は、日本国憲法の前文を含む、全条項を守り、平和的民主的条項の完全実施をすすめます。憲法を生かした政治の実現に力をつくします。
■社会民主党「平和憲法を変えさせない」
日本国憲法の「平和主義」、「国民主権」、「基本的人権の尊重」の三原則を遵守し、憲法理念の具体化のための法整備や政策提起をすすめます。平和憲法を変えさせません。
<憲法改正に触れず>
■公明党
※公明党は参院選公約で、憲法に触れていない。ただし、山口那津男代表は「今の憲法は基本的に良いものだということを前提に、新たに価値を加えていく、加憲の立場を取っている」と、6月19日の党首討論で答えている。
【訂正】「新党改革」は「憲法改正に反対」に分類していましたが、憲法改正そのものへの反対とは言い切れないので「憲法改正に慎重」と分類し直しました。(2016/07/07 10:27 )
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