ロッテグループの経営権を巡る兄弟の争いは三たび、弟の勝利に終わった。しかし韓国では検察が捜査に乗り出しており、「お家騒動」の行方に不透明感も漂う。
日本と韓国のロッテグループで支配構造の頂点に立つ日本の「ロッテホールディングス」は6月25日、東京都新宿区の本社で定時株主総会を開き、創業者の次男で代表取締役の辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)会長と佃孝之社長を解任する議案を否決した。
ハンギョレによると、この案件は、ロッテグループの経営権を取得するために、長男の辛東主(シン・ドンジュ、日本名:重光宏之)元副会長が提案していた。宏之氏側は、検察が捜査している現状をもとに、「新会長を中心とした現経営陣の問題点が明らかになった」と主張したが、主要株主と、キャスティングボートを握っているロッテホールディングスの2大株主、従業員持株会(27.8%・議決権基準31.1%)は、道徳性よりも経営成果を重視したとみられる。
6月10日以降、韓国の検察当局は、ロッテグループ本社と子会社の約30カ所を家宅捜索しており、グループが多額の裏金を捻出して、オーナー一家の関連会社を不当に支援していた疑惑が明るみに出た。宏之氏もここに注目して、株主総会を前に「韓国ロッテグループについて報道されている一連の疑惑について、株主総会で解明せよ」と公開質問書を送るなど、昭夫氏を攻撃してきた。
しかし、同紙によると、株主は「2015年、ロッテホールディングスの営業利益は約240億円で、2014年に比べて8%以上増えた。これは過去10年で最大の利益だ」とする「経営の成果」を打ち出した昭夫氏側を支持した。あるロッテ関係者は「現状では、経営権が揺らげばグループ全体が危機に瀕すると株主がよく分かっている。だから昭夫氏を支持する株主の結束力がむしろ大きくなった」と述べた。
昭夫氏は2015年の株主総会で、2回にわたって宏之氏側から経営権を巡る株主提案を起こされたが、いずれも完勝した。昭夫氏によるグループの支配力が確認された形だ。
しかし、検察の捜査が進むにつれて、グループの裏金作りや横領、背任などの実態が明らかになった場合、株主が昭夫氏から離反する可能性もある。宏之氏側は昭夫氏に勝利するまで株主総会での対決を続けると示唆している。同紙は「2〜3カ月程度かかると予想される検察の捜査が最終段階に入る9月に開かれる株主総会まで、兄弟の勝敗の行方は分からないとの見方もある」と指摘している。
一方、昭夫氏は株主総会後に1週間程度、日本の主要株主に対し、検察の捜査で明らかになった疑惑などについて説明すると報じられている。7月6日に東京で開催予定だった、日本の75金融・投資機関を招待したグループの投資説明会は全面的にキャンセルされており、昭夫氏は主要取引先や金融機関の関係者に直接会って、継続的な取引を要請する方針という。
この記事はハフポスト韓国版に掲載されたものを翻訳、加筆しました。
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