アメリカの上院議会は6月20日、銃の購入時に身辺調査などを義務付ける与野党提出の銃規制強化案を提出したが、採決に進むための動議は否決された。
アメリカ生まれのオマル・マティーン容疑者が、同性愛者が多く集うナイトクラブで銃を乱射して49人が死亡、53人が負傷した事件からわずか8日後、アメリカ上院はテロリストの可能性がある人間への銃規制の強化と、身辺調査の強化に関する法案を否決した。
今回の否決を受けて予想通り、政治家の犠牲者に対する祈りや悼む気持ちが十分ではないという怒りの声が上がった。
「今日の銃規制強化法案が否決されたことは非常に残念ですが、それでも驚くようなことではありません」とクリス・マーフィー上院議員(民主党、コネチカット州)は話した。「2012年のサンディフック小学校銃乱射事件の数カ月後、アメリカ国民の90%が銃規制を強化してほしいと考えたにもかかわらず、NRA(全米ライフル協会)が頑なに姿勢を変えなかった時から、こうなるであろうことは予想できました」
2016年6月20日のワシントンDCでの銃規制強化法案の投票後、クリス・マーフィー上院議員(民主党、コネチカット州)に慰められる、サンディフック小学校の銃撃事件で殺害されたドーン・ホクスプラング校長の娘エリカ・スミジールスキーさん
「『恥を知れ!』今アメリカ国民は、アメリカ上院に対してこのように叫んでいるのです」と、リチャード・ブルーメンソール上院議員(民主党、コネチカット州)は話した。
ビル・ネルソン上院議員(民主党、フロリダ州)はオーランドの銃撃事件で亡くなった49人の家族と、オーランドの地域社会に対してどのように話すべきか悩んだ。「残念ながら、彼らにはまたNRAが勝ってしまった、と伝えなければいけなくなりました」
「テロリストに銃を買わせたり、銃を所有させるべきではないという考えには私たちも賛同している」とNRAのチーフ・ロビイストであるクリス・W・コックス氏は声明で述べた。「私たちは、法律を遵守しながらもアメリカ政府の監視リストに載ってしまった人の憲法で定められている権利や、適正な手続きを受ける権利が否定されるようなことはあってはならないということに同意するべきだ。この2つは相互排他的な考えではない。アメリカ国民の安全が、政治的駆け引きの二の次になってしまっていることに驚きを隠せない」
共和党は民主党が提案した法案を支持せず、監視リストに掲載されている人物に銃を販売する時は銃の販売を3日遅らせるべきだとするジョン・コーニン上院議員(共和党、テキサス州)が提案した法案も含め、2つの改正案を提出した。この法案では、銃の販売を停止するには法執行機関が正当な理由を提示し、裁判所の許可を得ることが必要とされている。
ジョン・ブースマン上院議員(共和党、ルイジアナ州)は声明の中でNRAに同調し、「アメリカはテロリストの手に銃を渡してはいけないが、誤りによって政府の監視リストに掲載された、法律を遵守しているアメリカ国民の自由を守る必要もある」と話した。
20日の銃規制強化法案の否決を受け、民主党議員はTwitterでこのような投稿をしている。
アメリカ上院が、銃による事件を無くすための基本的な解決策を支持している大部分のアメリカ国民のためでなく、@NRAの味方になっていることは非常に残念で、嫌気がさしています。――エリザベス・ウォーレン上院議員
アメリカ上院があまりに何も行動を起こさないことについて、「想像もできないくらい、考えられないくらい」という言葉を使いたいくらいですが、でもそうすることはできません。――ガブリエル・ギフォーズ元下院議員。2011年1月、頭部に銃撃を受ける
正直なところ、この民主党の銃規制強化法案は考えるまでもなく可決されるものだと思っていた。――バーニー・サンダース上院議員
民主党の指名獲得が確実になった大統領候補のヒラリー・クリントン氏は、オーランドの銃撃事件で亡くなった人たちの名前のリストを挙げ、今の失望した気持ちを一言で表した。
もうたくさん。-ヒラリー
ミュージシャンのジョン・レジェンドもTwitterに失望を表明した。
銃規制に関して行動を起こすには、ホワイトハウスと上院から共和党を締め出さなければなりません。11月は民主党に投票をお願いします。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
【関連記事】
関連記事