7月の参院選では、18歳が初めて投票できるようになる。新しい世代が参加することで「政治が変わる」ことに期待が高まっているが、そもそも若者たちの政治・選挙への関心はどこに向いているのだろうか。ハフポスト編集部は、18歳から23歳の若者と一緒に国会議員や自治体の首長らを訪ね、率直で様々な質問をぶつけてみた。
「若い人とお話しできるのを楽しみにしていました」と、舛田桃香さん(20)、鈴木貴也さん(20)、間瀬海太さん(21)のインタビューに笑顔で応じてくれた公明党の佐々木さやか・参院議員(35)。進路について悩んだ学生時代を振り返り、女性国会議員として将来の結婚や子育てといった悩みを語りながら「皆さんも社会の動きに関心を持って」と熱く語った。
(左から)佐々木さやか・参院議員、舛田桃香さん(20)、鈴木貴也さん(20)、間瀬海太さん(21)
――そもそも18歳選挙権に賛成、それとも反対? その理由は何でしょうか。
もちろん賛成です。広く若い世代の人たちに政治に参加してもらうために、いちばん重要なのが参政権ですから、引き下げはすごく意義が大きいと思います。若い世代の皆さんの声を政治に反映させようと、ずっとやってきたんですけど、私たちが直接会える人は数も限られていますから。
――20歳ではいけませんか?
18、19歳で約240万人、新しい有権者が増えるんです。ただでさえ若い世代の人口は少なくなっているので、投票権を持つ若い世代が増えて、いろいろ議論してもらうのは、より若者の声が政治に反映されやすくなると思います。
――18歳の人たちが選挙に行かなかったら、どんな不利益がありますか?
ひとつはシルバーデモクラシー。日本では団塊の世代が人数も多いですし、高い年齢の方々が投票率も高い。そういう人の意見が政治や選挙に反映されやすい形になってしまっていると思うんですね。たとえば年金の問題でも、制度を持続可能なようにしていかなきゃいけないと思っていますけど、高い年齢の人たちに対する年金の制度と、若い人の年金制度をどう調整していくのか、そういうことに若い世代の声を聞かせてもらった方が、より長期的な視点でものごとを議論していくことができると思っています。
町づくりや国づくりは、より長く住んでいくのは若い人たちだから、若い人が魅力を感じるような社会にしていかないとおかしいですよね。私たち国会議員も選挙に向けて政策を説明してアプローチするので、ぜひ意思表示してもらいたいなと思いますね。
■司法試験に落ち、進路に悩んだ大学4年の頃
――18歳の頃は、どんな生活を送っていましたか?
進路についていろいろ悩んでいた時期でしたね。大学祭に出たり、学生寮のみんなと勉強したり、英語を勉強したいと思って大学を休学してカナダに行ったりもしましたけど、1年生のときに、弁護士になるために司法試験に合格しようと目標を立てて、司法試験の勉強をするグループに入って勉強していました。けっこう勉強漬けでした。
でも初めて受験した3年生で落ちて、4年生でまた落ちた。現役で合格したいと思っていたし、友達がみんな就職が決まって希望を持って卒業式を迎えていたのに、私はこれからどうしようと。とてもつらい時期でしたね。「10年後を見てろ」と、同じ境遇の友達と励まし合いながら、私は司法試験浪人して、そのうちに法科大学院という制度ができたので、受験して1期生として入りました。
――当時、政治への興味はありましたか?
結構、ある方だったと思います。動物好きで、地球温暖化やオゾン層破壊、絶滅危惧の動物についてのテレビ番組をよく見ていました。環境問題や、冷戦や核実験という問題にも関心を持っていて、それが政治にもつながっていきます。母は主婦だったんですが、ニュースを見て持論を話すのが好きで、そういうことにも影響を受けたとも思います。
身近なことで言うと、2003年に公明党が「携帯番号ポータビリティー」について署名活動をしました。昔は携帯電話の会社を変えたら電話番号も変わってしまったんですが、変えなくてもいいようにしようと署名をして、実際に実現しました。若い世代にできるだけ政治に参加して、主体者になってもらうにはどうすればいいか。どうせ大人がやっていることだから自分には関係ない、でなく、できるだけ参加している実感を持ってもらって、少しでも自分の声が届いたと感じてもらえるように、私たちは今もいろいろ工夫しています。
――佐々木さんの18歳の頃と、今を比べてどうですか?
政治にあまり関心ないという人たちの気持ちはわかりますよね。「自分のことでいっぱいいっぱいで、社会のこととか、考える余裕がない」という若い人がいたんですけど、私も進路のことで悩んでいたし。でも若いからこそ、社会の動きに関心を持って欲しいなと思ってます。悩みながらも「自分はこうなりたい」と、できるだけ目標を高く持つのが大事。いろんなことに関心を持った方が伸びると思うし、政策とか社会問題についても、どうしたらいいのか、どの党がどう考えているのか、と自分で調べて議論するのが、自分の力になると思うんですよね。
■「『女性の活躍』って言ってるのに、私たちができなかったら…」
――もし結婚されたら、どうお仕事を続けていこうと思いますか?
まだまだ国会は、結婚して子育てする女性議員が、最近ようやく出てきたという状況。仕事が忙しいのでサポートしてくれるような人がいないと厳しいですね。でもやっぱり「女性の活躍」って言ってるのに、私たちができなかったら信憑性がないということになりますからね。
――男性の国会議員の育休取得については?
何かイメージが悪くなっているような気がしなくもないですけど(笑)、意見は分かれるでしょうね。私も男性議員も国民の負託を受けて特別な立場でやっているから、普通のお仕事とはやっぱり違う。ただ、自分でスケジュールをやりくりして、きちんと仕事もした上で、育児休暇を取得するのも、今の時代は重要なことなんじゃないかな。地方自治体の首長さんが自ら取得することで、取りやすい雰囲気を作った例もあるし、誠実に取るということであれば賛成です。
■「一人の学生の相談から、制度が変わることもある」
――ちょうど1期目の折り返し点ですが、国会議員になってよかったと思ったことは?
大変なことの方が多いですけど、最近のことで言うと、マタハラと言って、妊娠・出産を理由に解雇されたり雇い止めに遭ったりする問題が注目を集めました。「女性の活躍」と言っている中で妊娠、出産した6割の女性が退職しているのは何とかしなくてはいけないと、私も予算委員会で取り上げました。妊娠、出産を理由にした降格は違法だという最高裁の判断が出まして、うちの党も力を入れて、2016年に雇用保険法が改正され、マタハラ防止措置を事業者が執らなければならないということが盛り込まれたんです。声を上げてから比較的スピードを持って改正できたのでよかったと思っています。
また、ある女子学生さんから「日本で高校を卒業して、アメリカで4年制の名門大学に合格できたんだけど、すごく学費が高い。でもいろいろ調べたけど使える奨学金がない」と相談を受けました。うちの党の先輩たちとも連携して、まだ貸与ですが、日本学生支援機構のメニューに追加されたんです。一人の相談から実際に制度も変わったこともありますし、法律を実際に変えられるというのは、すごく大きいことですよね。
――2015年夏に、国会前で学生による大規模なデモがありましたけど、国会議員としてどういう思いを抱きましたか?
デモに参加して意思表示するのは大事な表現方法の一つだし、信念を貫いてある意味すごいなという気がします。どういう方法でも政治に関心を持つのはいいこと。その主張の内容については私も言いたいことはあるし、私が行くかといったら行かないですけど。
――ご自身の友人や家族がLGBTだったと告白されたらどうしますか?
私は実際ありました。友達の子に言われたときは、わざわざ言葉にするのは勇気が要ったかも知れないので、信頼してくれてるんだなと思ってましたね。私たちの政治の分野でも、政策に期待をしてくれていると思うので、そういう方たちの役に立てるようにやっていきたいです。
佐々木さやか(35) 1981年、青森県八戸市生まれ。創価大学法科大学院修了。弁護士となり、2013年の参院選で神奈川選挙区から立候補し初当選。現在1期目。公明党女性委員会と青年委員会の副委員長。趣味は音楽鑑賞、スキー・スノーボード、お菓子を食べること。