6月9日午前0時50分ごろから午前3時10分ごろまで、沖縄県石垣市の尖閣諸島北東の接続水域に中国海軍のフリゲート艦1隻が入った。NHKによると、ロシア海軍の駆逐艦など3隻も、8日夜から9日未明に接続水域に入っていた。
産経ニュースによると、中国の艦艇が領海のすぐ外側にある接続水域に入るのは初めて。外務省は9日午前2時ごろ、程永華・駐日中国大使を外務省に呼び、斎木昭隆外務事務次官が「重大な懸念」を表明して抗議し、接続水域から出るよう求めた。
接続水域に外国の艦船が入ることは国際法には違反していないが、日本経済新聞によると、中国は尖閣諸島の領有権を主張しており、政治的意図があると判断して異例の深夜の抗議に踏み切った。菅義偉・官房長官は9日午前の記者会見で「毅然として、かつ冷静に対応していく。米国をはじめ、国際社会と連携して、こうした行為を行わないよう(中国に)強く求めていく」と述べた。ロシアに対しては外交ルートで必要な注意喚起をしたという。「中国は尖閣諸島について独自の主張を行い、公船による領海侵入などを行う中で今回、海軍艦艇が入った。ロシアにはそうした事情はない」と説明している。ロイターが伝えた。
世界大百科事典 第2版の解説
せつぞくすいいき【接続水域 contiguous zone】
沿岸国が関税・衛生など特定の行政目的に限って管轄権を領海の外に延長して行使することが認められている,領海の外側に接続する一定範囲の水域。隣接水域ともいう。1982年に採択された国連海洋法条約では,沿岸から24カイリをこえない範囲で沿岸国が接続水域を設定することができるとされた。 歴史的には,船舶の船足が速くなるにつれて,狭い領海内では密輸の防止など十分な取締りを行うことが困難になってきたので,沿岸国が関係諸国と条約を結んで接続水域の設定を認めてもらうようになったのが始まりである。
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