アフガニスタンの反武装勢力タリバンは5月25日、最高指導者マンスール師がアメリカ軍の空爆で死亡したことを公式に認め、後継者として側近のハイバトゥラ・アクンザダ師が新しい指導者になると発表した。ロイターなどが報じた。
ハイバトゥラ・アクンザダ師
マンスール師については、アメリカ政府が21日にアフガンとパキスタンの国境地帯で行われた無人機による空爆で死亡したと発表していた。
アクンザダ師は2015年に発表された国連報告書の中で、1996年から2001年にかけてアフガニスタンを実効支配していた時期、シャリーア(イスラム法)に基づく司法制度の長官を務めていた人物として名前が登場している。
中東カタールの衛星テレビ局アルジャジーラによると、アフガニスタンの首都カブールでここ数年起きている爆弾テロ事件の首謀者とみられるシラジュディン・ハッカニ師と、タリバンの創設者で2015年7月に死亡が発表された最高指導者ムラー・オマル師の息子ヤクーブ師がNo.2の地位にあたる副官に就任した。
ムラー・オマル師(2015年に死亡と発表)
タリバンが発表した声明によると、タリバンの諮問評議会(シューラー)のメンバー全員がアクンザダ師に忠誠を誓い、新しいアミール・ア・ムウミニーン(信徒の長)に恭順することを求められたという。
アクンザダ師は60歳くらいとみられ、アフガニスタン主要民族パシュトゥン人の中でもタリバンへ傾倒しているヌールザイ氏族で、タリバンの中枢があるアフガン南部の都市カンダハルの出身。
アルジャジーラのカイス・アジミー記者はカブールからのレポートで「アクンザダ師はタリバン内で強い尊敬を受けており、オマル師よりも年長で、『先生』と呼ばれていた。組織の結託力を高める存在になりうる。ハッカニ師が指導者に選ばれなかったのは、こうした背景があるようだ」と語った。