ジブリの新作がカンヌ映画祭で特別賞受賞
スタジオジブリ長編最新作として、フランスで開催された『第69回カンヌ国際映画祭』「ある視点」部門に正式出品された『レッドタートル ある島の物語』(マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督)が特別賞を受賞した。映像と音の詩情が高く評価され、「映画そのものが特別なもの」と受賞が決定した。世界三大映画祭の一つとされるカンヌ映画祭にスタジオジブリ作品が出品されたのは今作が初めてで、大きな評価を得た。
ジブリの鈴木敏夫プロデューサーの依頼を受け、高畑勲監督から長編映画の制作全般について助言を受けながら、自身初の長編アニメーションに挑んだマイケル監督。8年もの歳月をかけて完成した本作が、由緒ある映画祭で高く評価され、「これはスタッフと私の努力の結晶です。高畑さん、ありがとう!」と喜びのコメントを寄せた。
鈴木プロデューサーは「メルシーボクゥ(フランス悟でありがとうの意)、マイケルさん。そして、おめでとう。完成までは長かったけれど、カンヌ映画祭で賞に選ばれて、僕も本当にうれしいです。高畑さんはじめ、制作にかかわったスタジオジブリのスタッフ一同も喜んでいます。この受賞をきっかけに、フランス、日本、そして世界中で一人でも多くの人に観てもらいたいです」と自信を深めていた。
マイケル監督は、1953年オランダ生まれ。オランダで教育を受けた後、スイスとイギリスの美術大学でエッチングとアニメーションを学び、1978年に卒業制作で『インタビュー』を制作。80年代から90年代にかけてフリーランスとして複数のスタジオで働き、ディズニー作品『美女と野獣』(91年) ではストーリーボード・アーティストとして、『ファンタジア2000』(2000年)ではアニメーターとして作品に参加した。
90年代以降は短編アニメーション監督作品を発表し、世界的に高く評価されるようになり、『岸辺のふたり』(2000年)が米アカデミー賞短編アニメーション映画賞を受賞、アヌシー国際アニメーション映画祭ではグランプリを受賞。2006年に『アロマ・オブ・ティー』を完成させた後、本作『レッドタートル』に取り組んできた。
物語の主人公は、嵐の中、荒れ狂う海に放りだされ、九死に一生を得て、ある無人島にたどり着いた男。必死に島からの脱出を試みるが、見えない力によって何度も島に引き戻される。絶望的な状況に置かれた男の前に、ある日、一人の女が現れる、というストーリー。
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