LGBTなどの性的マイノリティに関連する日本最大級のイベント「東京レインボープライド2016」が4月30日に開幕し、東京都庁の45階にある展望室でオープニングレセプションが開かれた。
レセプションでは、渋谷区の長谷部健区長、世田谷区の保坂展人区長、教育経論家の「尾木ママ」こと尾木直樹氏、杉山文野・東京レインボープライド共同代表が参加し「LGBT 未来会議!」と題したトークイベントがあった。
2015年11月の同性パートナーシップ制度開始後に、渋谷区で8組、世田谷区で28組にパートナーの証明書が発行されたいう。長谷部区長は「二の足を踏む方が多いと思っていたが、予想より多い」として「支援する人や企業を増やすことが大事。条例をつくるだけではなく、空気をつくる民間の力が必要だ」と語った。
保坂区長は、「不動産や携帯電話業界などの理解も感じる。一歩以上の効果があった」とした上で、「自治体ごとに、(進め方は)多様性があってもいい。だから、なるべく多くの自治体に踏み出してほしい」などと訴えた。
尾木さんは性的マイノリティへの理解が「2、3年前から急速に広がっている」としながらも、「LGBTが(高校の)教科書に乗るのは来年です。不登校児の中にはLGBTの子も含まれている。思春期の揺れ動く性、自分が何者なのかって考える過程、この年頃ならではの特性でもある。これからですね」などと語った。
FtMのトランスジェンダー、杉山さんも、学生時を振り返り「僕もセーラー服を着ていくのがすごく嫌だった。トランスジェンダーの3人に1人は不登校というデータもある」などと当事者の抱える悩みを明らかにした。
■参加者の声
イベントに参加した出席者の一部に、LGBTについて考えを聞いた。
(右から)保坂展人・世田谷区長、長谷部健・渋谷区長、尾木直樹さん、杉山文野さん
・長谷部健・渋谷区長
(東京レインボーウィークは)区の中で盛り上がってもらえればいいと思ってる。渋谷区は、学校教育に力を入れていきたい。区の先生には研修が終わったところ。今後は、もっとアライ(LGBTの理解者、支援者)を増やしていきたい。ダイバーシティの推進は、当事者と進めていきたいね。
・尾木直樹さん
(イベントに参加したきっかけは)ブルボンヌさんとか、友達が多かったからです。今は法政大学で教えていますが、学校では必ずLGBTの授業をしています。授業の後、カードを書いてもらうんですが、必ず「私もLGBTです」と報告してくれる子がいます。やっぱり先生に話せるとすごく楽になるみたいです。
文科省が2015年の4月に指針を変えてから、(LGBTへの取り組みは)ガラっと変わりました。今は現場の方が大変。大事なのは中学です。揺れ動く性や、LGBTだけじゃなくQ(クエスチョニング)もある。その層も大切。インクルーシブ(包摂的)な社会を目指していくことです。
・福島瑞穂・社民党副党首
私の周りでは、カミングアウトしてくれる人も多いし、LGBTは広まっていると思うけど、まだまだやっぱり一人ひとりが生きづらいよね。(豊島区議の)石川大我くんと「二丁目のバーで語ろう!」ってイベントを(28日に)やったんだけど、親や社会にカミングアウトできていない人は多いと感じた。
カミングアウトしてもいい。カミングアウトしなくてもいい。でもカミングアウトしやすい方がいい。マイノリティは、存在を実証していかないといけない。そうでないと病院や相続などの(マジョリティにはない)問題がある。私は事実婚で子供がいる。夫婦別姓は最近では通用するようになったけど、LGBTの人たちにもわかりやすい言葉ができて通用するようになるといい。
・山縣真矢・東京レインボープライド共同代表
(2016年のテーマ、Beyond the Rainbow 〜LGBTブームを超えて〜について)実は、僕が考えたんです。2015年から渋谷区や世田谷区の取り組みもあり、LGBTに対する理解は広まったと思いますが、でもその前からLGBTはいたんですね。90年代にも一度ゲイブームがあったんですが、すぐに落ち着いてしまったこともありました。ブームがあってもなくても、LGBTは当たり前に生きている。そういう思いも込めて、ブームを超えて、というテーマにしました。
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