「家族がいるのに孤独でした」ママの産後うつ、写真は教えてくれる。

「うつ病がどれだけ深刻な病気なのか、多くの人に知ってほしいと願っています」

カメラマンのナタリー・マケインは、ママの物語にスポットを当てる写真シリーズを始めた。ママはカメラの前で、体と魂をさらけ出す。

進行中の「オネスト・ボディ(正直な体)プロジェクト」の最新の写真シリーズで、マケインは精神疾患、特に産後うつ病に苦しむ女性にインタビューをし、写真を撮影した。声をあげることなく、孤独を感じながら苦しむママに、発言の機会を与えることを目的とする。

NATALIE MCCAIN/HONEST BODY PROJECT

「社会は、母親に完璧であるよう大きな圧力をかけます」。マケインはハフポストに語った。「女性が子供を産み、産後うつに苦しむようになると、心の病を取り巻く社会的な汚名のために、人に明かそうとしないことが多くみられます。これは、ほとんどの女性が思っているよりも、ずっと一般的です。この問題について多くが語られるようになれば、多くの母親が孤独で苦しむ必要はなくなるでしょう」

このシリーズでは、産後うつ病に苦しむ母親たちを紹介している。マケインが撮影し、インタビューしたママの何人かは、過去にうつ病を経験したことがあった。それ以外の人たちは、親になって初めて産後うつになった。

写真家のマケインは第2子を出産したときに産後うつを経験し、そこからインスピレーションを得たという。「何が起こっているか把握するまで何カ月もかかりました。産後うつなんて聞いたこともなかったからです。実際には、これは普通に経験することであり、多くの人が公の場で語る必要があります。誰も1人で苦しむべきではありません」

マケインは、彼女の写真シリーズを見た人が、うつ病は必ずしも悲しく「見える」わけではないと気づいてほしいと願っている。多くの母親が、特にSNS上で、「偽りの笑顔」の表情をまとって自分の人生が完璧であると装わなければいけない圧力を感じていると彼女は語った。この現象が、社会に広がらないことを深めていると指摘した。

NATALIE MCCAIN/HONEST BODY PROJECT

「このシリーズによって、沈黙のなかで苦しんでいる女性が救いを求めるようになることを願っています」。写真家はハフポストに語った。「親友や家族、あるいは医師に心を開けるかどうかにかかわりなく、堂々と語りなさい。正直になり、助けを求めることが重要です。産後うつに苦しむ新たな母親たちが、この女性たちのストーリーを読み、自分が1人ではないことや病気が良くなることを理解してほしいと願っています」

マケインは心の病にかかったことのない人には、これらの作品が(心の病への)理解を深め、支援するきっかけになると考えている。

「あなたの友人が子供を産んだばかりで、たとえ彼女が大丈夫と言ったとしても、彼女が苦しんでいるかもしれないのなら、救いの手を差し伸べ、一緒にいてあげてください。彼女の家に行き、掃除を助けてあげてください。彼女が昼寝している間、赤ん坊を抱いてあげてください。そこにいて、前向きでいてあげてください。産後うつは深刻な問題であると同時に、助けてくれる友人がいるだけで良くなるのです」

以下に、マケインによる産後うつに苦しむママの写真とインタビューを紹介する

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Natalie McCain/Honest Body Project

「うつ病にかかって最も闘ってきたことは、病気を本当に受け入れ、本当の問題だと認識することでした。最初のうちは、何かが悪くて、それは自分で変えられるだろう、と考えていただけでした。ある種の尻込みをしているのだろう。人生の出来事をより感謝する必要があるだろう、あるいは、それらは変えられるだろう、と。……うつ病がどのようなものか本当には説明できません。しかし、それが私がこれまでの人生で感じた最悪の感情の1つだと言うことはできます。自分には価値がないと思うでしょう。物事を正しくやっていないと思うでしょう。そして、何が間違っているのかよくわからないでしょう」

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Natalie McCain/Honest Body Project

「正直に言って、最大のサポートは薬でした。約3年間、セラピストに話を聞いてもらいました。しかし、本当に違いを感じたのは薬を飲み始めたときでした。この方法をとったことをとても喜びました。1度、服薬をやめたことがありました。すると、また調子が悪くなったんです。簡単に怒るようになり、意地悪になり、いつも泣いていました。もう2度とあんなことはやりません」

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Natalie McCain/Honest Body Project

「うつ病がどれだけ深刻な病気なのか、多くの人に知ってほしいと願っています。私と同じような人たちは、うつ病なんて何でもないと笑い飛ばしてしまうでしょう。注意ばかりしている人や、単に不幸せな人たちがなるものだと思うでしょう。しかし、本当はそれ以上のものなのです」

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Natalie McCain/Honest Body Project

「息子が小さかった頃、私は穴の中にはまりこんでいました。完全なうつ病で、そのことを理解することもできませんでした。自殺を考えました。うつ病を終わらせる別の方法です。家族が家のなかに入ってきて、犯罪シーンの立ち入り禁止テープを見る状況まで思い浮かべてしまいました。私が薬と銃ケースの前を通り過ぎ、夫のところまで歩いていけたのは、息子と、私の頭のなかにあった息子のイメージのおかげでした。私が何を考え、どのように感じているかを、夫に話しました。私は文字どおり、自分が酔っているかドラッグをやっているかのように感じました」

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Natalie McCain/Honest Body Project

「私は以前にうつ病にかかったことがあり、産後うつになる可能性が十分にありました。私は疲労や怒りっぽさをホルモンの変化のせいと思おうとしました。ホルモン値が正常だったのに。助けが必要だと理解したのは、日常生活がうまくいかないトラブルが起こるようになってからでした。ベッドから出ることができませんでした。母に電話し、来てもらって赤ちゃんをまかせ、世話をしてもらい、私自身は眠りにつきました。そうした日々が続きました。私が赤ちゃんと交流できた唯一の時間は、授乳していたときでした。夫とすら話をしたくありませんでした。家族全員いたのに、孤独を感じていました」

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Natalie McCain/Honest Body Project

「自分をコントロールできませんでした。怒りを感じ、欲求不満で……そんな感じでした。私は幸せな人間になるはずでした! 素晴らしい赤ちゃんを産みましたが、私はベッドから出て赤ちゃんと楽しむことすらできませんでした。数カ月間専門家の助けを得て、今ではかなり良くなりました。パートタイムで働き、家族とりわけ息子と過ごす時間を楽しんでいます。調子の悪い日はまだあります。状態が悪化し、仕事中に泣いてしまう日があります」

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Natalie McCain/Honest Body Project

「本当につらい日々でした。私の家族は、自分がしたことや言ったことが私を動揺させるのではないかと心配して、細心の注意を払っていました。誰にもそばにいてもらいたくありませんでした。息子ですら。それら全てから逃げ出したかったのです。本当に暗く、孤独な状態でした」

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Natalie McCain/Honest Body Project

「1人で苦しまなければならないと考えてはいけません。信頼できる人に助けを求め、自分がどう感じているかを伝えてください。そう思っているからといって、誰かがあなたを母親としてふさわしくないと考えているなどと心配しないでください。あなたを助けたいと心から思っている人たちが大勢います! そして、1日1日を、そのまま受け入れることを忘れないでください。そうすればうまくいきます!」

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「うつと不安の経験があったので、産後に産後うつになる可能性は理解していました。夫と話をしたことで、夫は出産クラスで聞いた出産インストラクターが話した(産後うつの)兆候を見つける話を思い出しました。私たちは起こり得ることの準備ができていました。あるいは、少なくとも私たちはそう思っていました。最初の娘が生まれた後、私は混乱してしまいました。自分の完璧主義に圧倒され、この最も貴い存在にとって、自分が十分な存在ではないことを恐れました。娘は愛に満ちた眼差しを投げかけてくれたのですが、私の方は自分が駄目なんだとよく感じていました。私の夢、祈り、そしてハートが私の腕のなかにいるのに、自分は母親である価値がないと感じていました」

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「母性が、私を心底から揺り動かしました。私は感覚が強く、また傷つきやすく、その状態を守らなければなりませんでした。そのため、私は「幸せなママの国」の奥に隠れてしまい、多くの人を欺きました。私は頭がしっかりしているふりをしました。というのも、実際には、そうではないことを理解すると、恥と罪の意識が苦痛だったからです。母になった最初の年、私が深く信頼していた2つの安全な場所は、愛する夫と、病院での午後の母乳育児支援グループでした。隠れる努力はしたままでしたが、自分は1人ぼっちではないと理解するようになりました。私は夫に、そしてグループの母親たちに、私の失敗、恐れ、涙、それに罪/恥の感覚を伝えました。恥の意識について語すことで、その意識を弱め、コントロールしやすくなりました」

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「正直に言って、最初の娘が生後10カ月になるまで自分が産後うつだとはわかりませんでした。私の頭の中にやってくるすべての恐ろしい思考について夫に語ったことを憶えています。それらのイメージは、本当に恐ろしく感じました。夫は私に合わせて話しかけてくれ、それらが思考に過ぎず、現実ではないことを思い出させてくれました。……私は自然療法医のもとに通いました。……「狂ってる」と感じ始めときに何をしたらいいか理解しています。薬を服用し、深呼吸し、そして、時間をかけて、元気を取り戻し、運動し、日記をつけ、祈り、瞑想し、頭の中の思考を現実に基づいて焦点を合わせ直し、恥ずかしい思考をシャットアウトし、自分自身を肯定し、また、信頼できる人に私のストーリーを語ります」

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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