衆院選北海道5区と京都3区の補選が4月12日に告示された。夏の参院選の前哨戦となる見通しで、誕生したばかりの民進党にとっては、初の国政選挙となる。自民党は京都3区での候補者擁立を見送ったものの、北海道5区では与野党が激突する構図となった。投開票はともに24日。
時事ドットコムによると安倍首相は補選の結果を踏まえ、衆参同日選に踏み切るかどうか慎重に判断する意向だ。それぞれの選挙区ではどんな状況になっているのか。ポイントをまとめた。
北海道5区で自民党新人の和田義明氏(左)と、野党4党が推薦する池田真紀氏(時事通信社)
■「弔い合戦」の構図に変化(北海道5区)
北海道5区補選は町村信孝前衆院議長の死去に伴う選挙。午前11時現在、立候補したのは届け出順に自民党新人で44歳の元商社員・和田義明氏(公明、日本のこころを大切にする党推薦)と、無所属新人で43歳の社会福祉士・池田真紀氏(民進、共産、社民、生活推薦)の2人。
和田氏は亡くなった町村氏の次女の夫。毎日新聞によると、当初「弔い合戦」は有利とみられていた。鈴木宗男元衆院議員が率いる地域政党の新党大地も、和田氏を支援するなど盤石の構えだった。ところが、閣僚や自民党議員の不祥事、失言などが相次ぎ、風向きは変わりつつあるという。谷垣禎一幹事長も7日の記者会見で「一進一退。気を抜けない状況が続いている」と強調した。
一方で野党4党の相乗りとなる池田氏は、政党色を払拭したい構えだ。毎日新聞によると、4党幹部は12日の現地応援を見送ることになった。地元事務所が「市民色を出したい」という意向だったためという。池田氏陣営には、選挙戦で「自公」対「民共」の構図がことさらに強調されるのをかわす狙いがあるとみられる。
菅義偉官房長官は10日、札幌市厚別区の街頭演説で「共産党の綱領は日米安全保障条約破棄、自衛隊解散だ。こうした政党が民進党と一緒になって候補者を擁立している。日米同盟を破棄して国民の安全を守ることができるのか」と批判した。北海道5区の千歳、恵庭両市には自衛隊の基地や駐屯地がある。和田陣営としては、自衛隊員やその家族らからアレルギーが強い共産党の存在感を池田氏の陣営に植え付けたいようだ。
女性タレントとの不倫問題についての記者会見で頭を下げる自民党の宮崎謙介衆院議員(当時) 撮影日:2016年02月12日
■不倫議員の辞職で宙に浮く保守票(京都3区)
一方、京都3区補選は、宮崎謙介前衆院議員が女性タレントとの不倫で辞職したことに伴い実施される。
午前11時現在、立候補したのは届け出順に「日本のこころを大切にする党」新人で37歳の党支部長・小野由紀子氏(新党改革推薦)、無所属新人で57歳の田淵正文氏、幸福実現党員で31歳の新人・大八木光子氏、「おおさか維新の会」新人で34歳の森夏枝氏、比例近畿ブロックからの鞍替えを狙う民進党前職で41歳の泉健太氏(社民推薦)、無所属新人で55歳の郡昭浩氏の6人。
自民党は女性スキャンダルによる逆風を警戒し、候補者擁立を断念した。おおさか維新と、「日本のこころを大切にする党」などは、宙に浮く保守票の取り込みを狙うが、自民党の「不戦敗」で投票率が低下する可能性も指摘されている。
また、北海道5区とは異なり共産党は自主投票を決めた。改選数2の参院京都選挙区では両党が激しく議席を争ってきた歴史があるため、衆院補選で割り切って協力するのは難しいからだ。民進党の泉氏は13日、党府連定期大会で「共産党組織とは一線を画す。いずれの選挙でも共闘はしない」と明言した。