アメリカのワシントン・ポスト紙は4月9日(現地時間)、インターネットの記事を配信し、アメリカのオバマ大統領が広島訪問を検討していると報じた。
実現すれば、原爆投下国アメリカの現職大統領として初めて、被爆地を訪れることになる。
原爆投下から70年を迎えた2015年8月6日の原爆ドーム周辺
同紙はオバマ政権の高官の話として、最終決定ではないとしながら、5月末に開かれる伊勢志摩サミットの後に数時間、広島に滞在し、「核なき世界」を呼びかけた2009年のプラハ演説のような、核不拡散を呼びかける演説をする可能性に言及したという。
同紙はまた、2009年から13年まで駐日アメリカ大使を務め、2010年にアメリカ大使として初めて広島の8月6日の平和記念式典に参列したジョン・ルース駐日大使の「大統領は意欲的だと思う。歴史に敬意を示し、オバマ氏の公約(アジェンダ)を前進させるのに全力を尽くしている」とのコメントも紹介している。
2009年11月14日、訪日したオバマ大統領が、天皇陛下と握手しながら深くお辞儀。共和党から「弱腰」と批判された。
ホワイトハウスは、オバマ氏の広島訪問がアメリカ国内で批判の対象になることを強く認識している。2009年には、訪日して天皇・皇后両陛下に深くお辞儀する姿が、2012年の大統領選では共和党候補から「謝罪訪日」と攻撃された。特に2016年は大統領選があるため、オバマ氏の外交政策を「無責任」「弱腰」と批判する共和党から狙い撃ちされる可能性もある。しかし、オバマ氏らが「アメリカで大きな政治的反動を起こさず、戦争の犠牲者に哀悼の意を捧げることはできると自信を持っている」とする、ホワイトハウス側近とする人物の言葉も伝えている。
一方で同紙は、安倍晋三首相の側近の一部が、オバマ氏の広島訪問で安保法制に関する反対論が参院選前に再燃することを恐れていると指摘し、安倍首相のアドバイザーの一人が、広島訪問をオバマ氏の退任後に遅らせることも示唆したという。
関連記事