マケドニアとの国境近くにある、ギリシャのイドメニ難民キャンプは、国境を超えようとする難民であふれている。
移民や難民の多くは、トルコからエーゲ海を渡り、ギリシャの島々を経てここにたどり着いた。彼らの目的は、ギリシャ国境を越えてマケドニアに渡った後、スロベニアやクロアチア、セルビアなどバルカン半島諸国を経由してドイツなどの先進国に向かうことだ。しかし、それは現在絶望的な状況だ。バルカン半島諸国が国境規制を強化し、許可証がなければ通行できないようにしたためだ。
3月21日、数百人の難民がイドメニのキャンプからマケドニアへ向けて国境突破を試みた。長時間歩き、雨で増水した川を渡る危険を冒しての越境だったが、ほとんどがマケドニア当局に拘束されてギリシャへと送還された。
豪雨で水浸しになった難民キャンプ
難民キャンプは、最悪の環境になっている。国境なき医師団の広報ビッキー・マコレファ氏は、寝泊まりするテントのない大勢の人たちは野外で夜を明かさざるを得ない、と述べている。
3月の上旬には豪雨が続いた。そのためにキャンプ中が水に浸かってしまった。簡易トイレからは汚水があふれ出したとニューヨーク・タイムズ紙が伝えている。生まれたばかりの赤ちゃんを水で洗う写真は、世界中で大きな反響を呼んだ。
感染症も広がっている。劣悪な衛生状態や汚染された飲食物が原因でかかると考えられているA型肝炎だと診断されている人もいる。
夫と4人の子供と一緒に難民キャンプで暮らすファティマ・アフマドさんは「シリアにいたら死ぬのはあっという間。でもここではじわじわと死んで行く」とNBCニュースに語っている。
テントには「ドイツに行きたい」という文字がかかれている
ボランティアが食事や衣類、医療を提供しているが、膨れ上がる難民の数に追いついていない。食事を求める列は150メートルにも及ぶ、とマコレファ氏は語っている。
ギリシャ政府は、キャンプの住民を国内のより安全な地域へと移動させる計画を発表した。そのためにパンフレットを配布して、衣食住と医療ケアのを提供できる他の難民センターへ移動するよう呼びかけている。
すでにキャンプを去った難民もいるが、多くの人々が未だに留まり続けているという。彼らはブリュッセルで行われているEUとトルコの首脳による協議の成り行きを見守っているのだ。協議では、EU諸国の難民の受け入れ数を減らしトルコへ送還するかどうかが話し合われる。
国連は3月16日、2015年以降にギリシャに流入した難民が100万人を超えたと発表した。2016年だけでは、14万3000人以上になる。
イドメニのキャンプで撮影した写真は、苦しい難民たちの生活を私たちに伝える。
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
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