北朝鮮が2月7日に実施した長距離ミサイルの発射実験を受け、周辺各国は、対北朝鮮や安全保障の政策で、これまでの姿勢を転換する方針を相次いで打ち出した。
韓国の韓民求・防衛相は2月7日、「成功の可能性が高い」との見方を示した。聯合ニュースが伝えた。
この日、韓国国会の国防委員会で緊急の懸案報告に出席し、委員から見通しを尋ねられて「技術的に進化したものが適用されたため、ミサイルとして成功した可能性が高いとみている」と述べた。
韓氏はまた、
「射程が延びたことは間違いない」
とも述べたが、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)としては(大気圏)再突入など、いくつかの条件が必要となるが、非常に難易度の高い技術であるため、そこまで成功したという前提で答えているのではない」とも話した。
北朝鮮は核爆弾の開発と合わせ、運搬手段となる長距離ミサイルの開発にも力を注いできた。技術面については明らかでないことも多いが、2015年度の防衛白書では、「米国本土の中部や西部などに到達する可能性があると考えられる」としている。
北朝鮮は公式報道で「軌道に進入させることに完全に成功した」と宣言した。技術的な分析には時間を要するとみられるが、今回の発射実験で、北朝鮮がアメリカの首都ワシントンなど、アメリカ東海岸に到達するまで飛距離を伸ばす能力を持つに至ったかが焦点となる。関連技術の進歩にもよるが、対北朝鮮の安全保障戦略は根本的な再考を迫られる可能性もある。
■日本、独自制裁の方針固める
テレビ朝日によると、安倍晋三首相は2月7日午後1時ごろ、拉致問題の関係閣僚会合で、以下のように述べた。
「今回、我が国独自の措置を行うとの方針を固めました」
日本政府は2014年に、北朝鮮が拉致被害者や日本人行方不明者の「再調査」に合意したのを受け、第1次安倍政権が日本独自に課していた北朝鮮への経済制裁(人道目的の北朝鮮籍船舶の入港)を一部解除していた。今回の発言には、この解除した制裁を再び発動することが念頭にあるとみられるが、北朝鮮は反発して日朝間の協議を止めるなどの動きも予想され、拉致問題はさらに難局に陥ることになる。
■韓国、アメリカと迎撃ミサイルシステムを協議へ
北朝鮮のミサイル発射を受け、韓国政府は2月7日、アメリカの「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備について、アメリカと公式協議を始めることで一致した。
THAADは高い高度でミサイルを打ち落とす最新の迎撃ミサイルシステム。アメリカが配備を検討していたが、中国が自らの監視に利用される恐れがあるとして強い難色を示しており、計画は進んでいなかった。聯合ニュースは中国が「今回の決定に強く反発する可能性もあ」ると指摘しているが、韓国は、中韓関係を悪化させてでも米韓の軍事関係を強化する方向に踏み切ったとみられる。
韓国とアメリカは、3月7日の米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」と「フォールイーグル」を過去最大規模で実施することも明らかにした。
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