潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が、出身国の韓国政界の重鎮に誕生祝いの手紙を送った。この文面が、2017年の次期大統領選挙に向けた布石ではないかとの臆測を呼んでいる。
潘氏は、1月7日に90歳の誕生日を迎えた韓国の金鍾泌(キム・ジョンピル)元首相に、誕生祝いの手紙を送った。聯合ニュースによると、全文は以下の通り。
「尊敬する金鍾泌首相
今回の九旬(90歳の誕生日)を迎えられたことをお祝いし、これからも引き続きご健康であられることを願っております。総理が韓国の安寧と発展のために残された足跡は、後世に長く残ると思っております。
私は国連事務総長の職に就いていつの間にか9年が過ぎ、最後の1年の任期を残すのみとなりましたが、有終の美を飾れるよう、引き続き絶えずご指導、ご鞭撻をお願いいたします。
丙申年(2016年)の新年もご健康、ご発展をお祈りしております。後日、お訪ねしてご挨拶いたします。
2016年1月7日 国連事務総長 潘基文」
マスコミ各社が発表した最近の世論調査によると、潘氏は、2017年の次期大統領選挙に立候補が予想される主な顔ぶれの中で、支持率1位を独走している。
保守系の最大手紙・朝鮮日報の調査で潘氏は27.4%となり、2位の野党「共に民主党」代表の文在寅氏(15.2%)、与党セヌリ党の金武星代表(10.6%)らを引き離している。同じく保守系大手紙の東亜日報の調査では、潘氏は23.3%で、2位の国民新党代表・安哲秀氏は13.7%だ。他の調査でもおおむね20%台半ばから後半を記録している。
1998年3月、金大中政権で首相を務めた金鍾泌氏
金鍾泌氏は、韓国中西部の忠清道を地盤としていた保守系の有力政治家で、かつては金大中、金泳三の両元大統領と地盤を分け合いながら激しく対立する政治構図が「三金時代」と呼ばれた。潘氏の出身地・陰城(ウムソン)郡も忠清道に含まれる。
聯合ニュースによると、潘氏が国連事務総長に在任中、金鍾泌氏に誕生祝いの手紙を出すのは初めてだという。
特に潘氏は、自身が残した任期を持ち出した後に「後日、お訪ねしてご挨拶いたします」と、政治的なメッセージと解釈できる言葉で手紙を締めくくった。手紙の用紙は国連マークの入った事務総長の公式用紙を使った。国連事務総長の資格で特定の政治家に誕生祝いの手紙を送るのは異例だ。政界では、忠清北道・陰城出身の潘氏が、次期大統領選挙に向けて道を固めようとしているのではないかという説が出た。(ハンギョレ)
聯合ニュースによると、金元首相の関係者は「潘氏は同郷でもあるが、以前にアメリカ総領事や外務次官などをしていたときから、金元首相と親しかった」と説明した。
この記事はハフポスト韓国版に掲載されたものを翻訳しました。
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