写真家マロ・コウリは、大けがを負ったシリア難民の、ヨーロッパへの旅に同行した。
アセム・アスナは、21歳のシリア人学生だ。シリアの首都ダマスカス近郊のカタナー出身。病院でボランティアをするために、学問を離れた。自国の戦争犠牲者を助けようとの思いからだった。
彼の乗る救急車に爆弾が命中した時、同乗していた子供数人が命を失った。アスナ自身も足に大けがを負い、切断しなければならなくなった。
アスナは治療のために、ヨルダンへと移動。そこで、戦争で負った傷を治療している2人のシリア人に出会った。一人は23歳のアーマッド・オラブ。銃撃されて視力を失った。もう一人は、28歳のディーブ・アルクハティーブ。彼もまた、狙撃されて体が部分的にまひしていた。
2015年、この3人のシリア人はヨーロッパへ旅立った。モアエアド・アラファという28歳のシリア人の友人と一緒だった。アラファはオラブの移動を手助けしていた人物で、またアスナの叔父と叔母の家族でもあった。アセム・アスナ。到着した移民や難民のためキャンプで撮影(ベルリン)
ギリシャの報道写真家で、国際的な報道写真賞の受賞歴もあるマロ・コウリは、この一行の危険な旅のことを知り、彼らの長旅を記録することを決定。一行がトルコからの密輸船でギリシャのレスボス島に到着してから、ドイツの首都ベルリンまで、バルカン半島を同行した。
旅の中で最たる困難は、セルビアとクロアチアの国境を超えることだったとコウリは話した。
「私たちはまるで、何も無い場所にたどり着いたようでした。テントも無く、インフラも無かった。何も無かったのです。
しかし、たくさんのボランティアが来ていました。世界中からボランティが来ていて、『助けたいんです』と語っていました。彼らはレインコートやお茶、乾いた服を手渡していました」。
難民とともに旅をすることで、コウリは難民らの希望や夢を知った。「みんなはただ、どれほど生活を好転させたかったかについて話し続けていました」とコウリは言った。
「たった数日前まで戦争の中にいた人々です。彼らは今、働きたい、生きたいと思っています。そしていつか、自分自身の国へ戻りたいと、彼らは望んでいるのです」。この記事はハフポストギリシャ版に掲載されたものを翻訳しました。
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