アメリカの14州で最低賃金がアップへ 背景には何があった?

非営利組織・全米雇用法プロジェクトの調査によれば、アメリカ合衆国の14の州が、2016年の訪れと共に最低賃金を引き上げることになった。

雇用問題についての研究調査を専門とする非営利組織「全米雇用法プロジェクト」(NELP)のヤネット・ラスロップ研究員によると、アメリカ合衆国の14の州が、2016年の訪れと共に最低賃金を引き上げることになった。上昇額の小さいところではサウスダコタ州の時給5セントから、大きいものではカリフォルニア州やマサチューセッツ州で1ドルの上昇となっている。後者の2州は最低賃金が10ドルに達した最初の州となる。

Graphic by Alissa Scheller

  • アラスカ州:8.75ドルから9.75ドル(*1054円から1174円)
  • アーカンソー州:7.50ドルから8.00ドル(903円から964円)
  • カリフォルニア州:9.00ドルから10.00ドル(1084円から1204円)
  • コロラド州:8.23ドルから8.31ドル(991円から1001円)
  • コネチカット州:9.15ドルから9.60ドル(1102円から1156円)
  • ハワイ州:7.75ドルから8.50ドル(933円から1024円)
  • マサチューセッツ州:9.00ドルから10.00ドル(1083円から1204円)
  • ミシガン州:8.15ドルから8.50ドル(982円から1024円)
  • ネブラスカ州:8.00ドルから9.00ドル(964円から1084円)
  • ニューヨーク州:8.75ドルから9.00ドル*(1054円から1084円)
  • ロードアイランド州:9.00ドルから9.60ドル(1084円から1156円)
  • サウスダコタ州:8.50ドルから8.55ドル(1024円から1030円)
  • バーモント州:9.15ドルから9.60ドル(1102円から1156円)
  • ウェストバージニア州:8.00ドルから8.75ドル**(964円から1054円)

*日本円換算は1ドル120円で計算。

**ニューヨーク州とウェストバージニア州は、1月1日ではなく大晦日に賃金を引き上げる予定。

ニューヨークでは、ファストフード産業で働く人の最低賃金がその他の職業の9.75ドルよりもさらに高い10.50ドルまで引き上げられる予定で、これは州の賃金委員会の働きによるものだ。

コロンビア特別区とメリーランド、ミネソタ、ネヴァダの3州は、2016年中に最低賃金の引き上げを行う予定になっている。最低賃金の引き上げは、民主党びいきの州だけでなく共和党びいきの州まで一般民衆の広い支持を得ている。国内各州の投票者と国会議員はここ数年、賃金引き上げ案を通過させている。実際、多くの賃金引上げが成立し、多数の州で連邦政府の定める時給7.25ドルを超える最低賃金が設定されている(21の州で連邦政府の定める最低賃金以上の賃金を義務付けできていないことが分かっている)。

多くの州は、消費者物価指数に従って毎年自動的に最低賃金を調整している。インフレが緩やかでなければ、2016年に向けてさらに賃金引上げが設定されていただろう。最低賃金と生活費の上昇をリンクさせている8州――アリゾナ、フロリダ、ミゾーリ、モンタナ、ニュージャージー、オハイオ、オレゴン、ワシントンは、2016年に全く引上げを行わないとしている(最低賃金と生活費の上昇をリンクさせているその他の数州は引上げを行う予定だが、それはその州が生活費の上昇をどのように計算するかによる)。

多くの都市や行政区では、より高い最低賃金を設定することについて州議会よりも積極的だ。シアトル、ロサンゼルス、サンフランシスコ、そして西海岸の多くの小都市はすべて、最低賃金を段階的に15ドルに引き上げようとしている。これまでのところ、いくつかの都市と州が、公共部門と政府の契約労働者に特定した15ドル最低賃金法を成立させている。

一方、連邦政府が定める最低賃金は、6.55ドルから7.25ドルに上昇した2009年以降は変動がない。この上昇はジョージ・W・ブッシュ前大統領が成立させた賃金引上げの一環だった。最近の国会会期中、民主党は生活費の上昇にともない時給を12ドルに引き上げる計画を提案したが、上院・下院の両方をコントロールしている共和党による反対にあった。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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