アフリカ南部のジンバブエは猛烈なインフレで自国通貨が紙切れ同然となっていたが、2016年から中国の人民元を法定通貨にすることを決めた。CNNなどが報じた。
12月21日、ジンバブエのチナマサ財務相は、中国との交流拡大に向け、人民元を法定通貨として公式に認めるとする声明を出した。今回の決定は、中国がジンバブエに対する債権4000万ドル(約48億円)を免除したことを受けたものだという。
ロイターによると、チナマサ財務相は「米ドルと共に人民元を法定通貨とすることで、中国人の観光客や投資家を誘致できると期待している」と述べた。
■5000億%のインフレで既存通貨は紙切れ同然に
かつて使用されていた100兆ジンバブエドル札
ジンバブエでは2008年にインフレ率が5000億%に達し、自国通貨のジンバブエドルが紙切れ同然となっていた。
2015年6月にはジンバブエドルの使用が中止されて、米ドルに完全移行した。米ドルとの交換レートは、残高が17.5京(1兆の17万5000倍)ジンバブエドルの銀行口座に対して、5米ドル(600円)だった。
■35年間の独裁政権で欧米から孤立、中国に接近
演壇から降りる際に転倒するムガベ大統領。このシーンを撮影した一部のカメラマンは治安当局者から写真の消去を強制された。
現在91歳のムガベ大統領は、1980年のジンバブエ独立以来、35年間にわたって権力を掌握。激しい野党弾圧で知られ、欧米から「独裁者」と批判を受けている。
ワシントンポストは、西欧社会から孤立を深めるムガベ大統領が中国との関係を強化したと分析している。アフリカへの経済的影響力を強めたい中国としても願ったりかなったりだった模様だ。
中国の習近平国家主席は12月1日、ジンバブエの首都ハラレでムガベ大統領と会談し、インフラ建設やエネルギーなどの分野で協力を強化することで意見が一致した。習主席は会談で「ジンバブエが国際社会でさらに大きな役割を果たすことを支持する」と強調していた。
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