2016年のアメリカ大統領選挙で政権奪還をめざす野党・共和党のテレビ討論会が12月15日に開かれ、支持率トップの不動産王、ドナルド・トランプ氏(69)は口数が少なめで、いまひとつ存在感を示せなかった。一方、支持率が低迷しているジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(62)がトランプ氏を激しく批判する場面も見られた。だが、メディアでは「トランプ氏が批判を乗り切った」という見方が少なくない。
西部ネバダ州ラスベガスで開かれた討論会には、共和党から立候補を表明している14人の候補者のうち、世論調査の支持率で上位の9人が参加した。
トランプ氏は、11月に発生したパリ同時多発テロの後、イスラム教徒のアメリカへの入国を禁止すべきだと発言して物議を醸したが、この日の討論では聞き役に回る場面が多く、CNNは「具体的な政策論争は苦手との印象を残した」と報じた。
ロイターは、2人のやり取りについて次の通り伝えた。
支持率が低迷するブッシュ氏(62)は、思慮深さと真面目さが足りないとトランプ氏を厳しく非難。ジョークはうまいが政治は素人だとしてトランプ氏を「混乱を招く候補」と呼び、同氏が提唱するイスラム教徒の米国入国禁止措置は真面目な提案ではないと批判した。また、過激派組織「イスラム国」戦闘員の家族も殺害対象とするトランプ氏の提案は「常軌を逸している」と切り捨てた。
一方のトランプ氏(69)は「ジェブの態度では、米国は再び偉大な国となることはできないだろう」と反論。「宗教についてではなく、安全保障について話している。米国は制御不能に陥っている」と述べ、自身が掲げる反イスラム政策を擁護した。
(ブッシュ氏がトランプ氏を猛攻撃、他候補は静観=米共和党討論会 | Reutersより 2015/12/16 16:50)
トランプ氏はさらに、ブッシュ氏に対して「他人を侮辱することで大統領選に勝とうとしても無理だ」と言い返しもした。
最新の世論調査(14日発表)で、共和党の支持者の党内の候補者に対する支持率は、トランプ氏が41%と2位のクルーズ上院議員を20ポイント以上引き離している。乱戦が続いた同党での4割超えは初めて。
トランプ氏は、主流派による「トランプ降ろし」を意識して、このところ第3党からの立候補も示唆している。産経ニュースは「トランプ氏の暴言は党にとりマイナスだが、同氏が全国委員会との誓約書をほごにして第3党で出馬されれば保守票が食われ、民主党を利することになりかねない。主流派はそんなジレンマを抱えている」と伝えている。
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