寄生虫が妊娠の可能性を高める? 研究で明らかに

人間の腸内に潜む寄生虫には女性の免疫システムを変え、妊娠しやすい体にする力が備わっている可能性がある。

寄生虫が妊娠の可能性を高める鍵を握っているかもしれない。

人間の腸内に潜む寄生虫には、女性の免疫システムを変え、妊娠しやすい体にする力が備わっている可能性がある。

ボリビアで986人の女性を調査した9年にわたる研究により、ある種の寄生虫に感染した女性は、寄生されていない女性に比べ、より妊娠しやすく、またその周期も短かかったことが明らかになった。

研究グループは、この発見が妊娠促進薬の開発に役立つと確信している。

今回の研究は、ボリビアのチメイン族の女性を対象に調査が行われ、鉤虫と回虫という2種類の寄生虫について調べた。

筆頭著者であるカリフォルニア大学サンタバーバラ校のアーロン・ブラックウェル人類学部准教授は「我々は、腸内の寄生虫の種類によって、チメイン族の女性の妊娠時期に良い影響と悪い影響のどちらも与える可能性もあることを発見しました」と述べた。

「鉤虫に寄生されると、年代に関係なく、出産の間隔は長くなる傾向がありました。しかし、回虫に寄生されると、若い女性に関しては、出産の間隔は比較的短くなりました」

研究者たちによると、鉤虫に寄生された女性は、そうでない女性より平均して3人子供が少なくなる。一方で、回虫に寄生された女性は、そうでない女性より2人子供が多くなる傾向があるという。

「この対照的な効果の理由は、寄生虫が免疫システムに影響を与え、それが受胎の見込みにも関わってくるためでしょう」とブラックウェル氏は述べた。

彼は、サイエンス誌にも掲載されたこの発見が先進国での人口減少問題にも影響をを与える可能性があるという。妊娠に関する問題の多くは、自己免疫不全に関係しているためだ。

しかし、英国の医師ヘレン・ウェバリー氏は、研究結果は慎重に受け止めるべきだという。

「寄生虫に感染した986人の女性に関する研究では、回虫を宿していた女性が2人子供が多くなる傾向を示しましたが、それが偶然であった可能性も十分にあります」。

ウェバリー氏は、医学的な研究において、発見と思われたことが単なる偶然だったということは今までにも多々あったと述べた。

「研究が有益なものとなるためには、寄生された986人の女性を研究し、寄生されていない986人の女性と比較する必要があります。明確に『彼女たちの方が子供が多いのか?』あるいは『彼女たちの方が妊娠能力が高いのか?』と質問をしながらです。そうすれば信頼できる結果が得られるでしょう」。

「また、受胎の確率を高めるためには、クロミド(妊娠促進薬)のような科学的に立証された近代医学にも頼る必要があります」。

この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。

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