アメリカ・オレゴン州セーラムの周辺で、ペットを飼っているホームレスの家族たちの生活が、少し楽になるかもしれない。
10月末、仮住まい中のホームレスの家族と、犬や猫のための新しい居住施設がオープンした。
ベティー・ハーゲンさんとそのひ孫は、ハーゲンさんの亡き夫の医療費があまりにかさんだため家を失ったが、この施設のおかげで愛犬のチワワ、クロエと離れなくてすんだという。
「クロエは、私が働いていた獣医から引き取りましたが、私にとってすごく大切な存在なんです」と、ハーゲンさんは、ステーツマン・ジャーナル紙に語った。「クロエは、私とひ孫にとって宝物なんです」
以前は、ハーゲンさんとひ孫は、シェルターとなった教会で眠っている間は、クロエを毛布に包んで、車に残しておかなければならなかった。
この新しい施設には、6匹の犬と2匹の猫用のスペースがあり、動物愛護プログラム「ペットスマート・プロミス・プログラム」による事業としては、9番目にあたる。このプログラムはペットスマートと、ホームレスの家族の世話をするNPO団体ファミリープロミスが協力して行っている。この施設はウエストセーラム・デイケアセンターに付属している。ウエストセーラム・デイケアセンターはファミリープロミスの支部、セーラム・インターフェース・ホスピタリティー・ネットワークの一部だ。日中はペットの飼い主がペットの世話をしたりペットと遊んだりして、飼い主がネットワークの一部の教会で寝ている夜間はボランティアがペットの世話を引き受ける。
最初のペットスマート・プロミス・シェルターは、2012年にフェニックスで開かれた。
「ほとんどのホームレスシェルターではペットを飼うことはできないので、ホームレスの家族は、ペットと一緒にいるために車の中や道路で生活することを選んでいました」とペットスマートの広報はハフポストに語った。「ペットは家族のメンバーに、とても大きな慰めを与えてくれます。こういうホームレスの家庭の子供にとって、ペットは彼らの人生で、ただひとつ変わらないものなのかもしれません。彼らがペットを飼うのを諦めないでいられることは、彼らの健康にとっても大切なのです」
家のない人たちがペットを飼うことの難しさは、よく紹介になる。2015年初めにオレゴン州のボブ・ブロコウさんがAP通信に語ったように、彼は寒い季節でも暖かいベッドを求めようとしないという。ほとんどのシェルターでは、彼が8年間一緒にいる良き友であるボーダーコリーを受け入れることができないからだ。
「(シェルター)の中に入るために、愛犬を手放すことはありません」と彼は語った。ブロコウさんは、ペットのためにできる限りのことをしていると付け加えた。
「愛犬は私が食べるものを食べ、私が何か特別にもらうと、愛犬も一緒にそれを食べます」と、ブロコウさんは話した。
ブロコウさんの悩みは、それほど珍しくはない。アメリカのホームレスの人たちの約5〜10%が猫や犬を飼っていることが、ペッツ・オブ・ザ・ホームレスの調査でわかっている。ペッツ・オブ・ザ・ホームレスは、ペットを飼っているホームレスの人に、ペットフードや獣医の医療サービスを提供するNPO団体だ。そして、この調査結果は、多くの人がシェルターには行かずペットを手放さないことを意味する。
同団体のサイトには、「ホームレスの人にとって、大きな問題は住居です。多くのシェルターやモーテル、他の住居援助プログラムは敷地内にペットを連れて来てほしくない。保健所の規則や、施設内の他の人に対する安全面などの配慮からです。だからペットを飼っている人は、車やRV車やテントに住んでいます」とある。
DVの被害者も、同じような悩みを抱えている。多くのDV被害者のシェルターでも、ペットを飼うことができないからだ。しかし、この問題に気づき、ペットの生活スペースを提供し始めえる施設も、徐々に増えてきている。
「こういう人たちは、大変苦しい選択を迫られています」と、ペット救済グループ「レッドローバー」のエスペランザ・スニガさんは5月、ハフポストUS版に語った。「彼らは『この危険な状況から逃れようとして、ペットを手放すことで、もっと危険な状況になるんではないか』という問題を抱えています」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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