福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」が廃炉になる可能性が出てきた。
原子力規制委員会は11月4日、「もんじゅ」を安全に運転する能力が日本原子力研究開発機構にはないとして、新たな運営主体を明示するよう馳浩文部科学相に勧告すると決めた。朝日新聞デジタルなどが報じた。
田中俊一委員長は「もんじゅは同じようなミスを20年間繰り返してきた。今後も原子力機構に運転を任せるのは不適当だ」と会見で話した。勧告の内容を翌週に正式決定し、半年をめどに結論を報告するよう求める考えだ。新たな運営主体が見つからない場合は、廃炉も視野にもんじゅのあり方を抜本的に見直すことを求めている。
異例の勧告に踏み切ったのは、2012年に約1万点の機器の点検漏れが判明した後、新たな点検不備を繰り返しているため。指摘された保安規定違反は8回を数え、2015年8月には点検計画の前提となる機器の重要度分類自体の誤りが判明していた。
■「夢の原子炉」となるはずが……
コトバンクなどによると、高速増殖炉「もんじゅ」は、プルトニウムとウランを燃料にして、消費した以上の燃料を生み出すため夢の原子炉として開発された。しかし1995年の試運転中に、冷却材のナトリウムが漏れる事故を起こして運転停止。15年ぶりに運転を再開した直後の2010年には、核燃料の交換装置が原子炉容器内に落下し、再び停止した。2013年5月、原子力規制委員会より運転準備中止命令が出された。これまでに1兆円近い国費が投じられている。
1995年の事故の際に、組織の隠蔽体質を問われ、当時の動燃(動力炉核燃料開発事業団)が解体される事態にまで発展した。その後、動燃を引き継いだ組織と、日本の原子力の基礎研究を担ってきた日本原子力研究所が統合され、日本原子力研究開発機構がもんじゅの運営主体となったが、組織が変わっても安全に関わる問題はなくならなかった。
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