世界は自閉症の人にとってそうでない人とはかなり違って見えていて、それが周囲との関わり方に影響している。
10月20日カリフォルニア工科大学が発表した研究結果によると、これは広い範囲の視覚入力において、自閉症スペクトラム障害を抱える人の脳内では解釈のされ方が違うためだという。
「ASD(自閉症スペクトラム)の人が、他人の感じ方や社会的ジェスチャーの意味を理解するのによく苦労することは知られています」と、この研究の主任ラルフ・アドルフス医師はハフポストUS版に対してメールで述べた。「これはおそらく、彼らのそういったものに対する注目の仕方が異なっているためでしょう」。
言い換えれば、自閉症の人が反復的な行動や反社会的なことをしたり、接触を持とうとしなかったり、あるいはコミュニケーションが困難になったりといった行動をした時、彼らの知覚や注意が特定の状況に向いているからなのかもしれない。
「他に発見したことの中で我々の取り組みが明らかにしたことは、『ASDの人は顔を正常に認識しない』というような簡単な話ではないのです」とラルフス氏は述べた。「彼らは決まった見方をほとんどしていないのです」。
研究グループは、自閉症の人が周囲の状況を感じ取る様子を描写した一連の画像を作成することでこの点を探求した。この研究のためにチームは、高機能自閉症を持つ20人と自閉症のない対照者19人に700の画像を見せ、視標追跡装置で画像の中の様々な物体に彼らが注目するパターンを記録した。
次のレンダリングを見て、研究チームが発見したものを見てみよう。
それぞれ対になっている画像で、上の画像は自閉症の人がどう認識するかを示していて、下の画像は対照者の認識の仕方を示している。
この2枚の画像では、自閉症の人がプレーヤーの顔よりレフェリーの後頭部に強く注目していることに気づくだろう。
これらの画像では、自閉症の人が前面にいる母子象より木や空に多くの注意を払っている。
次の画像では、自閉症の人は対照者と同じようにフットボールの軌道には注目していない。
見てわかるように、自閉症の人たちは顔や情景の中で「意味がある」物には目を向けず、それが社交場では難題になる傾向にある。
「彼らはどこに(注意を)向けていいかを判断するのに苦労する可能性があるため、おそらくこういったことが(自閉症の人が)特にパーティのような複雑な環境で交流するのが難しくしているのかもしれません」とアドルフス氏はいう。
この研究結果は将来臨床医が、個々の症例でよりふさわしい診断をできるようにする、自閉症の亜類型を特定するのに役立つかもしれない。
「この研究は、診断告知に最も有効となるでしょう」とアドルフ氏は声明で述べた。「自閉症というのは多種多様です。我々の研究は、自閉症が実際にはどれほどの種類存在するのかを解き明かす、最初の第一歩なのです。そういった亜類型を特定できたら、それぞれの型には違った種類の治療法が最適なのかどうかを問い始めることができるのです」。
自閉症には全ての診断結果に合う画一的なアプローチができないということを、我々が目にすることはますます多くなっている。この研究を続ければ、この症状が持つ多くの微妙な差異に狙いを絞り、適合した治療法を考案する上で役立つかもしれない。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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