雲が大海原のように広がる雲海。
飛行機や高い山の上に行って雲海を見下ろすと、自分がまるで天上の人になったかのような錯覚を覚えます。
雲海の正体とは、一体何なのでしょうか。雲海の秘密を紹介します。
■低いところにできる雲を上から眺める
水平に広がった雲の合間に、山の峰が島のように顔を出す雲海。雲海に遭遇すると、その神々しい風景に感動します。
雲海の正体は、低い位置にできる雲や霧です。
雲のできる高度はさまざまで、高度2000mよりも下で発生する下層雲、高度2000~7000mに発生する中層雲、温帯地方での高度5000~13000mで発生する上層雲の大きく3つに分類することができます。日本の山の上から見渡せる雲海は、下層雲を上から見たものです。
もちろん、高度10000m近くを飛ぶ飛行機からは、中層雲や上層雲も雲海として眼下に見渡すことができます。
雲海の現れやすい気象条件とは
では、雲海はどのような日に現れやすいのでしょうか。
全国に数ある雲海の名所では、その場所の地理的要因によって、雲海が現れる季節や気象条件はさまざまです。
ただ、これからの季節に現れやすいのが、「放射霧」型の雲海です。
放射霧とは、雲がなく、風の弱い日の早朝にできる霧のこと。
このような気象条件のときは、地面の熱がどんどん上空に逃げていく「放射冷却」が起こります。
すると、地表付近の空気がキンキンに冷やされて、空気中の水蒸気が水滴になり、霧となるのです。これが放射霧です。
放射霧は、太陽が昇って気温が上がると消えていきます。日の出から1~3時間だけ見られる霧なのです。
放射霧は冷気の貯まりやすい盆地で発生しやすいため、盆地の周囲にある山から盆地を見下ろすタイプの雲海スポットが多く存在します。
■神秘的な川霧
さて、これからの季節に出会える霧の神秘的な風景といえば、川霧も挙げられます。
川霧は、晩秋や初冬によく現れる現象です。というのも、この季節は放射冷却によって早朝の地表の空気が冷えるものの、まだ水温はさほど下がってはいないからです。
冷たい空気が、相対的に温かい川の上に流れ込むことで、水面から蒸発した水蒸気が冷やされて水滴になり、湯気のようになります。
これが川霧の正体で、蒸気霧とも呼ばれています。
秋の深まりとともに、霧の織り成す美しい風景が見られるようになっていきます。
朝の冷え込みは厳しくなりますが、だからこそ目にすることのできる絶景なのです。
(気象予報士・ライター 今井明子)
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