ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンのマルティン・ヴィンターコーン最高経営責任者(CEO)が9月23日、辞任を表明した。アメリカで販売した自動車に排ガス規制逃れの不正が発覚したことを受けて責任を取った格好だ。
フォルクスワーゲンは、アメリカで販売したディーゼルエンジン車に、排ガス規制を不正に逃れるソフトウェアを搭載していた。朝日新聞デジタルによると、問題のソフトウェアはアメリカ当局の排ガス基準の適合試験を検知し、試験の間だけ排ガスを低減するが、通常の運転では基準の最大40倍の窒素酸化物(NOx)を排出していた。同社によると、同じ事態を引き起こす可能性があるディーゼル車は、世界で1100万台にのぼるという。
フォルクスワーゲンは2014年度の新車販売台数で、トヨタを追い抜いて世界トップに立っていたが、今後の販売への影響は避けられない。今回の対応のため、7~9月期決算に特別損失として65億ユーロ(約8700億円)を計上する方針も明らかにしたほか、アメリカ環境保護局の調査結果次第では、最大で180億ドル(約2兆1600億円)の制裁金が科される可能性がある。
■ヴィンターコーンCEOの声明全文
「私はここ数日の出来事にショックを受けています。何より、私はフォルクスワーゲングループでこのような規模の違法行為が可能だったことに唖然としました。
私はCEOとして、ディーゼルエンジンに関する不法行為の責任を受け入れて、フォルクスワーゲングループCEOを辞任することを監査委員会に要請しました。会社の利益のためであって、不正行為を認識していたからではありません。
フォルクスワーゲンは、全社員の新たなスタートを必要とします。私は辞任することで、新たなスタートに向けて道を開きます。
私は、この会社に奉仕するために情熱を傾けてきました。特に私たちの顧客と従業員に対してです。フォルクスワーゲンは今までもこれからも、私の人生の一部であり続けます。
真相解明と透明性のプロセスは継続する必要があります。これは信頼を取り戻す唯一の方法です。フォルクスワーゲングループとそのチームは、この重大な危機を克服すると確信しています」
■ヴィンターコーン氏とは?
ヴィンターコーン氏はフェルディナンド・ピエヒ前会長の腹心として頭角を現し、グループ企業のアウディ社長を経て、2007年にフォルクスワーゲンの取締役会長に就任した。中国での販売拡大などに力を入れ、世界販売台数は2007年の約620万台から2014年は1014万台に大幅に拡大し、初めての1000万台超えを達成していた。
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