アメリカ・サンフランシスコ市議会は9月22日、第2次大戦中の従軍慰安婦の記念碑や像を設置するよう求める決議案を全会一致で採択した。
慰安婦を巡る碑や像は、アメリカではカリフォルニア州ロサンゼルス郊外のグレンデール市などに設置されているが、サンフランシスコで実際に設置されれば大都市では初めてのケースとなる。
朝日新聞デジタルによると、市議11人のうち8人が提案し、中国系や韓国系の市民団体を中心に採択を求める運動が高まっていた。提案の中心となったエリック・マー市議は、市民団体などに約10万ドル(約1200万円)の寄付が集まったことを明らかにしている。
公聴会では、「歴史を語り継ぐためにも必要だ」「人身売買など今日的な人権問題でもあり、市内につくるべきだ」などの賛成意見とともに、「性犯罪のすべての犠牲者に捧げるべきだ」「日系人が批判の的になり、地域を分断させる」といった反対意見もあがっていた。
このため、議案作成の中心となったエリック・マー市議らが議案を修正。旧日本軍の慰安婦問題だけでなく、「世界的な女性の人身売買を止めるための教育を促す」などの文言を加えた。また、日系人にも配慮し、第2次世界大戦中に米国で日系人が強制収容された歴史についても触れた。
(慰安婦記念碑、米サンフランシスコに設置へ 決議案可決:朝日新聞デジタルより 2015/09/23 12:18)
この問題を巡っては、大阪市の橋下徹市長が8月27日、日本の事例のみを取り上げるのは問題を矮小化するとして「日本に法的責任があるというなら、世界各国も同様のはず」と反論する公開書簡をサンフランシスコ市議会あてに送っていた。朝鮮日報によると、常任委員会や公聴会などの審議の過程で、公式の参考資料として検討されたが、可決を阻止するには至らなかった。
日本人を中心にネット署名などの建設反対運動も起きたが、日本経済新聞は「日系人社会も一枚岩ではない」とする山田淳・駐サンフランシスコ総領事の言葉を紹介。日本人による反対運動がアメリカで「歴史修正主義」と見なされて批判を招いていると説明した。
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