金融危機が続くギリシャで9月20日、総選挙が実施され、中間集計の結果、与党の急進左派連合(Syriza)が第一党になることが確実となった。出口調査の結果でも急進左派連合党首のアレクス・チプラス前首相への一定の支持が見られるが単独過半数を獲得するのは困難だ。チプラス氏は9月末までに首相へ返り咲き、連立協議に臨む。
開票後、チプラス氏はアテネで演説し、満面の笑みで勝利宣言を行い、今回の選挙結果でギリシャを率いる委任状を得たと述べた。チプラス氏はまた、ギリシャの経済再生に向けて困難な時をすごさなければならないと警告した。
ロイターによると、「現在のヨーロッパでは、ギリシャの国と国民は、抵抗と威厳の代名詞となっている。そして、この闘いはもう4年続けることになるだろう」と、チプラス首相は述べた。
20日の総選挙の投票は、1月の総選挙、欧州委員会(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の「トロイカ」による国際債権団から提示された財政緊縮案を受け入れるかどうかを問う7月の国民投票に続き、ギリシャで2015年に行われた3回目の投票となる。
今回の選挙の投票率は低くなる見込みだ。多くのギリシャ人有権者は、事前の世論調査で接戦になるという予測のもと投票した。チプラス氏率いる急進左派連合は選挙戦の当初、圧倒的なリードを保っていたが、投票日が近づくにつれて新民主主義党との差は縮まった。16日の世論調査では、両党の支持率は僅差となっていた。
アテネで勝利宣言するチプラス前首相(Photo by Milos Bicanski/Getty Images)
しかし投票日になって、有権者はチプラス氏支持に傾いたようだ。多くの有権者が、財政緊縮に「ノー」を突きつけた7月の国民投票に続き、チプラス氏を信任する道を選んだ。
ラフな姿と強気の発言で注目され、「革ジャン財務相」と呼ばれた急進左派連合のヤニス・ヴァロファキス前財務相は20日、緊急金融支援に反対する立場から、債権団に譲歩したチプラス氏の急進左派連合を批判した。
今回の選挙の最大の争点は、チプラス政権が受け入れた金融支援と、全般的に放置された状態の国の経済だった。しかし、政策論争の中で重要な位置を占めたのは債権団に対するチプラス氏の交渉能力だった。チプラス氏は1月の総選挙で反緊縮財政を掲げて首相となったが、国が財政破綻する危機に直面し、ユーロ圏離脱が現実のものとなるにつれて、結局は厳しい財政再建に踏み切らざるを得なかった。
急進左派連合は定数300の議会の第一党となり、無条件で50議席が与えられるものの、単独過半数には達しない見込みだ。単独過半数を得られなかった場合は、連立政権の枠組み作りに着手する。政権を維持するためには、3%以上の得票率を得た政党と連立を組む必要がある。
ロイターによると、前回の連立政権のパートナーだった右派政党の「独立ギリシャ人」は20日、今回も連立に加わることになると表明した。独立ギリシャ人党首のパノス・カメノス前国防相は、チプラス氏の勝利演説の際も同じステージ上で祝福した。
急進左派連合は連立整形樹立のため、他の政党と連立の枠組み協議を行うことになる (AP Photo/Vangelis Bougiotis)
連立政権がどんな形になったとしても、難民・移民問題、機能不全に陥った経済、そして高い失業率といったギリシャが直面する多くの重大な試練に直面することになる。
政府はまた、債権団が3年間で最大860億ユーロ(約11兆8700億円)に及ぶ金融支援の条件として要求された年金改革などの大規模な財政改革を実行しなければならない。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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